2017年04月17日

動物病院を好きになるには その2

前回の続きです。
ちょうど去年の今頃にも動物病院ネタのブログを書いていた。やはりこれからのシーズンは必ず病院には行く季節なだけに注意喚起はしておきたいと毎年のように思う。

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昨年の記事はこちら。

前編
http://inthedog.sblo.jp/article/174670401.html
後編
http://inthedog.sblo.jp/article/174775381.html

昨年の記事では前半にオヤツの使い方。後半に緊張感を与えないための診察中の対応の仕方を書いた。
今回は犬が病院で感じてしまう恐怖心をどうやって減らしていくかという話。

「犬の恐怖心」
台の上が怖い、獣医が怖い、身体を抑えられるのが怖い、これらが全て怖いと感じる犬だったら大変だ。二重三重に重ねられた怖いという感情。犬は強い恐怖心を感じるとどうなるか。

犬が恐怖から身を守るためにする選択肢は3つ。
逃げるか。固まるか。攻撃するか。

診察台に上がった犬は逃げられない。そうなると残るは二つ。固まっているうちに済むと学べれば良いけれど、苦手な事柄が次々と続いてしまったら・・・。固まってもどうにもならないと思った犬は唸る、咬むといった攻撃的な振る舞いをするしかなくなってしまう。
そんな風に犬を追い込まないためには、恐怖に感じる一つ一つの事柄を可能な限り無くしていけるかが大切。
犬は人間が病院に行くときのように、治療のためとか自分の病気を治すためといった理由は分からないのだから。

人間もそうだけど、怖いと思っているときは神経が過敏になる。お化け屋敷を想像すると分かりやすいかも。
お化け屋敷で怖いと感じる人は、些細な音やちょっとした触感にも敏感になる。
つまり診察台に乗せられるのが既に怖いと感じる犬は、乗せられた時点で五感で感じる全てに対して過剰反応しやすくなっていると言える。

だったらまず診察台に乗せることに馴らせれば。それだけでも犬の負担をだいぶ減らせる。
普段から自宅で台の上に乗せることを練習して馴らしておくのも良いだろう。日常的に台に乗せてブラシをするようにしたり、保定動作(首回りを抱え込むような動き)に馴らしておくと良い。
それと、これからのフィラリアシーズンは良いチャンス。毎月薬を貰いがてら病院へ行き、診察台に乗せて体重を量る。特にその後嫌な事もされずに終わるという流れ。これは印象を良くするトレーニングをするにはうってつけの状況。
つい飼い主都合で薬を一度にまとめ買いしがちになるけれど、病院に馴らしたい方はご検討を!

その犬がどの程度病院が嫌いになっているかでもトレーニングの進め方は異なる。その犬が不安にならない状況を把握し、少しずつ出来る範囲を広げていくのが基本。もしも台の上に乗せて時間が経っても食べることが出来なければ、まずはその場で食べることが出来るかどうかがスタート。
診察台の上に乗せた後に確認するのは、食べ物を食べる余裕があるか。台の上に乗せようとするときに嫌がらなくなっていくか。最近は地面の高さまで下げれる診察台を置いているところが増えているので、その場合は犬の意思で乗るかどうかの確認もできる。自ら乗りたがるくらい台の印象が良くなってくると理想的。
台の上に乗るのを嫌がらないようになってきたら触る頻度を増やす。実際に保定動作をしてみたり、先生にお願いできるなら、先生から食べ物をあげてもらったり触診をしてもらう。このときも犬が精神的に食べられる余裕があるかをその都度確認していく。

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動物病院を好きになれるかどうかはその病院がどのような診察の仕方をするかが大きい。
コミュニケーションは一切取らず処置だけをする病院や、なかにはいくら診察のためとはいえ強引すぎる抑え方をする病院もある。
ビーが通っている動物病院は犬に負担をかけない診察を心掛けている。病院に馴らしたいと話せば、その意向を汲んでくれる。病気を治すのが動物病院だからと割り切らず、馴らす努力をしてくれる動物病院は本当に有難い。
犬が喜んで病院に来てくれれば飼い主は嬉しいし、獣医にとっても診察を楽にできる利点がある。まさに一石三鳥。
良い動物病院というのは説明が丁寧、診察が的確だけでなく、第一に犬に優しい動物病院だと思う。

なんらか病気になってしまってからでは犬のテンポに合わせて少しずつ馴らすなんて余裕はなくなってしまう。だから健康なうちに病院が安心できる場所だと教えられるか。それこそが病院を好きにできるかの分かれ道。
いざ、とっておきのご褒美を持って動物病院に出かけよう!

posted by 安田和弘 at 19:26| Comment(0) | ドッグトレーニング

2017年04月07日

動物病院を好きになるには その1

今月初め、福岡県の大牟田市動物園でユキヒョウの採血を麻酔を使わずに成功したらしい。
この動物園、2015年にはライオンでも無麻酔の採血を成功させていたり、動物に負担をかけない方法に意欲的で素晴らしい。

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※写真は東山動物園にて

ではどのように採血できるようトレーニングをしたのか。
それはハズバンダリートレーニングという方法。

http://inthedog.sblo.jp/article/60861330.html
前に勉強会やったなぁって調べたらもう4年以上前だった。時の流れが怖い・・・。

採血は網越しに尻尾からおこなってるので、飼育員がいる網に近寄る、尻尾を網の外へ出す、尻尾を直接触る、竹串など先端が尖った物で押す、これらの動作をもう一人の飼育員が食べ物を食べさせながら少しずつ馴らしていったと思われる。トレーニングは半年以上かけておこない、本番の採血までに至っている。ポイントとしてはユキヒョウが人間にされる動作を受け入れるように非常に計画的に進めていったことだと思う。一度でも恐怖感を付けてしまうと取り返しがつかないから。

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これまた東山動物園のユキヒョウ


犬の場合もハズバンダリートレーニングの考え方をよく使う。他の動物に使えて犬に使えないなんてことは当然ありえない。普通に考えれば犬の方が簡単なはず!・・・ただ現実は結構大変なわけで。
犬の場合、大きさが手頃だったり、力で抑えた方が良いという情報が広く伝わってしまっているため、パピー期の頃から無理やりな方法でグルーミング(ブラシ、爪切り、お風呂等)や受診をしてしまいがち。それが後に問題行動として浮彫になってきてトレーニングという流れが多いんだけど、既にトラウマがあるだけにトレーニングは大変になってしまう。

こう書くと飼い主に問題ありってことになってしまうけど。そもそも動物園の動物たちと比べ、管理されて飼われているわけはではないし、共に暮らす分だけ日常的な接点は犬の方がはるかに多い。
それら日常で起こる一つ一つの出来事を全て気を付けようとするのは容易なことじゃない。だからある程度苦手な事柄を犬が持ってしまうのは仕方がないように思う。それを踏まえて家庭犬なんだろうと。

大切なのは犬が苦手なこと、怖がっていること、それらを少しでも馴らしてあげたいと思う飼い主の気持ち。気を付ける気もない。もしくは犬のSOSに気付けない飼い主だったら犬は可哀想だ。

さて、タイトルにも書いた動物病院を好きになるには。
動物病院という存在は犬の暮らしに切っても切れない場所。病院嫌いな犬はきっと総犬数の過半数を占める。でもせめて大嫌いではなくちょっと苦手、くらいには留めておきたいところ。
ハズバンダリートレーニングという考え方も踏まえて、動物病院を嫌いにならないための心得を皆さんに知っておいてほしいと思います。

次回に続く!

posted by 安田和弘 at 12:59| Comment(0) | ドッグトレーニング

2017年03月20日

犬に話かけないDay その2

犬に話しかけないで過ごしてみる日を作ってみる。そんな突拍子もないような話には意外な効能があるそうな。そんなお話の後編です。

前回は犬とのコミュニケーションにおける部分。犬は言語コミュニケーションをしない動物だから。犬が本来おこなっている身体の仕草を用いての会話「ボディランゲージ」を学ぶために「話しかけないDay」をお勧めしましたが、今回はトレーニングについて。

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初めての場所に行ったりなどして犬が座らない状況のとき。つい飼い主さんは「オスワリ!オスワリ〜!」とキュー(指示のこと)を連呼しがち。実際お店に初回カウンセリングにみえる方の多くがそんな感じ。まず犬が指示を聞いてくれない理由を冷静に考えてみたい。
よく言われがちなのは、分かっているのに「わざと」しないというもの。このわざとという表現を自分は好まない。犬の学習は損得勘定。座れたら大好きなご褒美をあげようという状況でわざと言う事を聞かないなんて、犬にとってなんのメリットがあるのだろうか。

犬を悪者にする前にまず疑ってほしいのは、普段と環境が違って何をして良いのか犬が分からなくなっているのでは?ということ。実際それが一番理由として多い。
犬の学習はその時の環境に大きく影響される。例えば「自宅のリビングで」「お客さんなどがいない静かなときに」「飼い主が」「しゃがんで」「手にオヤツを持って」オスワリと言ったときに犬が座れるとする。これら全てがオスワリの行動を起こす条件になっている。もし場所が自宅でないだけでも犬はなにをして良いのか分からなくなってしまう可能性は高い。

で、分からなくなってしまったときに飼い主が最初にするべき対応は、まずキュー(指示)を外すこと。どうせ言ってもやらないのに闇雲にキューを連発するのは言葉の無駄使い。言われる度に犬は飼い主の言う事を無視する癖がついてしまう。それに犬はガミガミ言う人が苦手。熱意を正面から向けると徐々に飼い主から視線をそらしてしまう。

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じゃあどうやって犬に再び行動をさせるか。
まずは一旦落ち着いて。
犬がなにをすべきだったかを気付けるようなヒントを出してみる。ヒントというのは行動を教えた過程の方法。トレーニングがうまくいかない時の基本は一つ前に戻ること。
オヤツなどで動きを誘導して当初教えたのなら、それがヒントになる。室内で教えた行動が外でできないのなら、集中しやすい場所を探してそこからやってみるのも良いと思う。環境設定は大きなヒントになる。
飼い主自身がどうやってその行動を犬に教えたのかちゃんと理解できていれば一つ前に戻るというヒントの出し方は簡単だ。
問題なのは偶然、あるいは飼い主も無意識のうちに犬が行動を覚えていた場合。よくあるのはトイレの問題。飼い主が特に教えたわけでもなくなんとなくシートでできていた犬がある日を境に崩れてしまったとき。飼い主はどうやって再び教えたら良いのかに困ってしまう。本当は偶然覚えたなんてことはなく、必ず学習できたキッカケが存在するはずなんだけれど。
そういった点からトレーニングは単に覚えれば良いではなく、教えている過程が大事と言える。

そんな出来そうで出来なかった状況を克服させることを繰り返すことにより、犬は少しずつ普段と異なる環境でも安定して行動できるようになっていく。
大事なのは分かっている、理解しているはずと決めつけず、犬目線で分かりやすいように導いてあげること。

自分は指示を聞ける犬というよりも、空気を呼んで必要な事に気付ける犬が好き。
声を荒げなくとも自然と飼い主が望むことに気付ける犬はスマートでカッコいいと思う。
犬に話しかけないでハンドリングをしてみると実際どの程度行動を理解できているか分かる。しっかりとトレーニングをしている犬と飼い主なら言葉の指示がなくとも座らせたり、待たせたり、近くに来させたりといった動きができるはず。

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トレーニングにおいての犬に話しかけないDayの目的は、本当に必要な声掛けを見つけるためにある。言葉を無くして接してみると、本当は言わなくても行動できていた不要な言葉や、言うことでマイナスの印象となっていた言葉に気付ける。

犬を学ぶための一番の先生はその犬自身。
「話しかけないDay」を通じて、ぜひ皆さんも自分のワンコ先生からの個人指導を受けてみては?


posted by 安田和弘 at 16:13| Comment(0) | ドッグトレーニング

2017年02月20日

犬に話かけないDay その1

ドッグトレーニングには本当に様々な方法があります。十人十色。その犬、それぞれの個性に合ったトレーニングを。いつも言っていることですね。
というわけで今回のブログの内容が当てはまるかどうかは個々によりけりなのは予めご了承くださいませ。

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ここ最近「犬に話しかけないで過ごしてみて」ってお話をよくしている気がする。
このアドバイスが当てはまる方というのは、

・普段呼んでもなかなか犬が来てくれない。
・犬に指示をかけているのに全然聞いてくれない。
・飼い主への依存度が高くなってきている気がする。
・自分自身、犬に話しかけ過ぎていると自覚がある。

上記に当てはまるかなっていう方は試してみても良いかもしれません。

「犬に話しかけないDay」のルールは単純。
犬に話しかけないけど、日常通りの過ごし方はする。散歩、ご飯、グルーミング、遊び、トレーニング等、全て通常通りに犬におこなう。話しかけない=犬を無視して過ごすという事ではないのでお間違えなく。
話しかけない事の利点、実は一回のブログに書ききれないほどあるんです。

まずはコミュニケーションの面。
もともと犬は言語コミュニケーションはしない。
身体の仕草で会話をするボディランゲージが主体。それは相手に来てほしくないとき、一人になりたいとき、遊びたいとき、甘えたいとき、それら全てを身体で表現している。
でも家の中で犬と暮らしていると、つい言えば通じるような感覚を覚えてしまう人は多い。

もちろん言葉の意味を犬は学習できる。散歩に行く前に「お散歩行こっか?」と毎日話しかけていれば、その言葉を聞くだけで大喜びするようになる。
でも全ての言葉を理解しているか?と言えばそれはないだろう。

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言葉のないコミュニケーションをしてみると、場合によって言葉をこちらの意図とは違った形で犬が学習してしまっているかを判断できる。
例えば、犬がお気に入りのオモチャで遊んでいるときに飼い主に「そのおもちゃ楽しそうだねー!ねぇこっちに持って来て一緒に遊ぼうよ〜」などと話しかけられると、犬は「この人はじわじわと近づいてきてオモチャを取り上げようとしてるんじゃないか?!気を付けないと」と逆に飼い主を疑っているのかも。

犬は犬だから。人間の物差しで測ることは間違いだと思う。逆に犬からしたら「ちゃんと犬語分かってるの?この前からベッドで休んでいるときは来てほしくないって言ってるじゃん!」とボディランゲージでこちらに伝えようとしているのかも。人間の言葉を伝える時間があるなら、まず人間が犬語を覚える方が絶対早い。

日常で犬に来てほしいとき、逆に来てほしくないとき、それを伝えるにはどのように自分が振る舞えば良いのか?目線、身体の動き、表情、それら全てを駆使して相手に伝える。
それこそがボディランゲージであり犬が視る世界だから。

要するに、
伝わっているかどうかよく分からない「言葉」という情報を一旦外してみると、今まで気付かなかった発見があるのでは?犬の感情をより理解することが「犬に話しかけないDay」の目的。

そしてトレーニングや問題行動の改善においても話しかけない事の利点は大きい。
また次回に続きます!

posted by 安田和弘 at 20:28| Comment(0) | ドッグトレーニング

2016年12月22日

犬にサプライズを

あっという間に年の瀬。もうすぐクリスマスですね。
クリスマスと言えばプレゼントですが、ワンコへのプレゼントを用意された方も多いのでは?
プレゼントはやっぱり渡すタイミングが重要ですね。
今回のブログはタイトルからは想像できないかもしれませんが久々トレーニングについての記事です。

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ポジティブバディを始めたことによってオビディエンス(スワレやフセ、マテ、オイデ等)を練習してる方はinthedog周りで増えたように思います。どんな内容にせよ犬と向き合って時間をかける事ってとても大事。なので頑張って練習されてる方を見ると嬉しい気持ちになります。
ただせっかく練習をしても成果が実らないのは悲しい。もちろん生き物が相手だから仕方のない事もあるけれど、どうせ時間をかけるなら確実に成長していきたいもの。そんなトレーニングをする上でのコツを一つご紹介。

ポジティブバディの課題の多くはオヤツ使用不可。そんなときによく相談されるトレーニングお困りあるある。「うちの子、オヤツを手に持っていないと言う事聞かないのよ〜問題」の解決策をご説明します。

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クリスマスにちなんでまず、大切な人にプレゼントするシーンを想像してみて下さい。
「今日プレゼントとして婚約指輪を渡したいから夜会ってくれない?」
この誘い方どう思いますか?

せっかく用意したプレゼントに対する感動は半減してしまうだろうと思った方がほとんどでは?
プレゼントってタイミングが大事。これって犬のトレーニングにおいても同じ。
犬のトレーニングにはなんらかの報酬を使う。オヤツやオモチャはその代表格。報酬を使うこと自体はなんら問題ないけれど、事前提示に頼ってしまうケースは本当に多い。
つまりオヤツやボールを手に持って犬に見せ指示を出す、みたいなもの。

犬に指示を出すことを専門用語でキューと言う。キューは言葉だけでなく、身体の姿勢や場所、状況、それらも含まれる。
例えば「リビングにて」「人はしゃがんだ姿勢で」「手を胸に当て」「オスワリと言う」
オスワリの練習をしているときにこれら全てがキューになる。「オスワリと言う」だけをキューにしたいのであれば、それ以外の条件が固定されないように場所や姿勢を変えて練習をしなければいけない。よく場所が変わると犬が指示を聞かなくなるのもこれが理由の一つ。

ここからが本題。「手にオヤツを持って」というのは犬側にとって凄く目立つ。オスワリの指示を出す際にいつもオヤツを手に持って練習すると、もれなくオヤツの存在がキューの条件に含まれてしまうというわけ。
でも本来はオヤツを手に持っていようがいまいが指示は聞いてほしいわけで。そうなるとオヤツを手に持っていないパターンの練習が大切になってくる。

もう一つ別の理由もある。
オヤツを手に持っているときにはオヤツをあげるのに、持っていないときは本当にあげないという方が結構多いということ。
理由は色々あるけど、よくあるのはオヤツがなくても言うことを聞かせたい願望が働き、試しに持っていないときにやってみようと思ったというもの。そして見事オヤツがなくても言う事を聞いてくれた!やった!でもって本当にオヤツはあげない。こういうのを犬を騙すと言う。
きっと犬はこんな風に思うだろう。
「この人はオヤツを手に持っているとオヤツをくれるけど、持ってないときはくれない。今度からオヤツを持ってるときだけ話を聞いてやろう。」って。

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じゃあ実際にどうすれば良いか。動物を意欲的にさせるには「期待感」が大切。
それは、この人の言うことを聞いたらなにか良い事が起こるかもしれない!という気持ち。
そのようにさせるためには話は簡単。犬にとっての報酬は後出しにする。それだけ。
オヤツであれば事前に隠し持っておき、見事指示を聞けたならばサプライズでオヤツをプレゼントする。
それを繰り返すだけで犬の期待感を作ることはできる。
報酬の隠し場所は色々と変えながらやったほうが良い。同じ場所からあげてばかりでは犬に早々先読みされてしまうので。

犬へのクリスマスプレゼントの渡し方も少しはイメージつきましたか?犬をあっと驚かすサプライズな出し方をぜひチャレンジしてみて下さいね。

posted by 安田和弘 at 18:28| Comment(0) | ドッグトレーニング

2016年11月05日

ドッグランで気を付けたいこと

夏の暑さは気付けば遠くへ。待ちに待った行楽シーズンです!
これからの季節は犬と出かけるには最高ですね。今回はこれから出かける方も多いであろうドッグランについてのお話です。

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ドッグランには、もう何度も行っているという方、まだ怖くて行ったことがないという方、様々だと思います。
ドッグラン=犬が喜ぶ場所。と思ったら大間違い。利用の仕方を間違えれば恐怖の場所となりえる事を心掛けなければいけません。
これまでランが好きだった犬がたった一回のトラブルでランだけはなく犬そのものが苦手になってしまった。
そんな相談をこれまで何度も聞いてきました。

ドッグランでの注意点は様々ありますが、その犬の性格によって大きくポイントが変わります。
まず怖がり気味な犬のケース。
第一には犬の逃げ道を常に確保することです。
よく他犬が苦手で散歩中に犬に会うと吠えてしまうという犬でも、以外とドッグランに行くと吠えない、なんて話があります。種明かしをすると、ランでリードを外して自由に動けさえすれば吠えて相手を追い払う真似をしなくても自分が距離を取って安全を確保できるから。リードの存在は犬の動きを束縛してしまうため、逃げるよりも追い払う行動を選択しやくなってしまうというのが大きな理由。
ただリード以外にも犬が逃げられなくなってしまう状態というのは起こる。
ドッグランでのそれは飼い主のそばにいる場合。飼い主の近くへと逃げた犬はその足元からそれ以上逃げようとしなくなってしまう。結果的に逃げ道を無くしてしまう。
そうならないためには飼い主は常に動き続け、犬の行動範囲を広げやすくしてあげるという事が大切。

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元気が良すぎて他の犬と遊びたがる犬の場合はどうでしょう。
そういった場合は飼い主が制御をどの程度できるのかがポイント。
代表的な事はやはり呼び戻し。
怖がりな犬にちょっかいをかけていても呼んで戻って来れたら相手の犬に迷惑をかけないで済みます。
・・・ただ、現実はそんな良いようには扱えない。興奮しているときに呼んで戻って来れるというのは実際はとっても難しいこと。しかも呼んでも来ないような状況で呼び続けるということはトレーニングの観点からも宜しくない。呼ばれても行かない、反応しないという事を教えてしまうから。
じゃあどうするか?それは飼い主が常に自分の犬の近くにいるようにすること。
なにか他の犬に失礼な態度を取りそうになったり、喧嘩になりそうになっても事前に捕まえられる距離にいること。
ちなみに相手の犬に怒れて学ばせるという考えは言語道断。それは相手の犬にとっては怒る行動を学ばせてしまうから。そんな他力本願な方法ではなく、飼い主が責任を持って扱うのがマナーなんだと思います。

結局どんな性格の犬にしろ飼い主は目を離さず、なるべく動くということが大切。
これは自分の経験からですが、ラン内にベンチがあって、そこで休む人が多いランほど犬同士のトラブルは増える。ドッグランは犬だけを走らせて飼い主が楽をする場ではないと自分は思います。

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ランだけではなく、カフェやモール全ての場所で言えることだけど、行って自分の犬がマイナスの経験になるような場所には犬を連れていかない。その判断を飼い主がしっかり出来る事が犬を悪くさせないためには大切。
色々気を付けるのは大変だけど、どうか人にも犬にも楽しい思い出を重ねていけますように。これからの季節を満喫しましょう。



posted by 安田和弘 at 19:35| Comment(0) | ドッグトレーニング

2016年10月11日

パピートレーニングの根幹は?

パピートレーニング。
幼犬期のしつけをこのように言う。この時期から熱心にトレーニングしておくことはとても大切。

パピートレーニングに求めることが飼い主とトレーナーとの間で違いが起こることがある。
同じ方向性でいけるのは理想だけど、ある意味仕方のないようにも思う。

飼い主は今目の前にいる犬を見る。この小さな怪獣はこれまでの平穏な日常をかき乱す。飼い主は日々起こる問題の対処に追われる。
トレーナーはその犬の未来を見る。将来、こんな風に育ってほしい。起こりそうな問題があれば防いでおきたい。そんな願いを込めてアドバイスをする。

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パピートレーニングではとにかく様々な相談を受けるが、そのなかでも必ずと言って良いほど共通して相談されること。
突然ですが、これからパピーあるある問題をランキング形式で発表していきましょう。

第三位!
イタズラ!部屋中を動き回っては家具などをかじったり落ちている物を拾おうとしたり、落ち着きがない!

第二位!
甘噛み!とにかく人の手足を噛みまくる!

第一位!
トイレ!部屋に離しておくとあちこちで粗相をする!

その他にも、留守番ができない、ケージに入れると鳴く、飛びつく、つかまえられない、散歩に行っても歩かない、散歩で引っ張る。などもあるけれど、惜しくもランキング外。

上位3つは特に相談が多い。過ぎてしまえば懐かしい思い出になる事柄。ただそうは言っても当事者は大変。甘噛みとは言え乳歯の先は尖っているため刺さって痛い。イタズラもなぜか決まって飼い主としては噛んでほしくないものばかりを狙うため目が離せない。終いにはトイレも定まらず、失敗して掃除をする日々・・・。

甘噛みやイタズラは基本的に日にち薬。1年後に振り返るとその頻度は激減していたりする。甘噛みやイタズラはとにかく仔犬の基本でありして当然の行為。トイレは教えないと日にちが経っても覚えないけれど。
だからと言ってパピーあるあるの全てを無視しておいけば良いとか、我慢をしていれば良いとかと言うつもりもない。その子の性格に合った適切な対応をしていくことで癖をつけないようにすることは大切。ただ甘噛みやイタズラが多いのには、それだけ欲求の満たし方が出来ていないとも言える。パピーとはとにかくよく一緒に遊んであげるべき。遊ばせ方も様々工夫が必要だけれど、大してそういったコミュニケーションの時間も作らずに甘噛みやイタズラを注意しているだけでは信頼関係は構築していけない。

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トレーニングは目先の問題だけではなく、将来に向けて関わってほしいと思う。
代表的なものは社会化。これから出会うであろう刺激たち。他人、他犬、音、景色、匂い、足の裏の感覚、それら全てをパピー期から充分に接触させること。それも経験として楽しかった、嬉しかったという印象を結び付けておくこと。社会化が上手くいかず怖い、不快と感じる対象が出来ると、将来それに対して警戒吠えをしたり攻撃的になったりする可能性がある。

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また、社会化は外部の存在にだけというわけではない。拡大解釈をすれば日常でのブラッシングや抱っこ、クレートに入る、触られる、リードや服を着ける、くわえた物を離す etc...。それらの事柄においても苦手、嫌いといった印象を付けず好きな事にしておく。これが飼い主との信頼関係に繋がる。
どんな犬も社会化さえちゃんと成功していれば極論、他の事なんて何もしてなくても将来は安泰だ。

パピー期の頃の問題はパピートレーニングにおいては枝葉末節。
トレーニングの根幹は社会化であり、それは様々な経験をさせる、飼い主がすること一つ一つを疑わないような関係を築く。恐怖や危険と感じることがない安心な暮らしができるようにすること。そういった事に時間と根気を注いでほしいと思う。
退屈で甘噛みばかりする。パピーにそんな元気を有り余らせてはいけない。
パピーの教育に時間と手間を惜しむこと。それこそが最大の問題なんだと伝えていきたいものです。

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posted by 安田和弘 at 17:16| Comment(0) | ドッグトレーニング

2016年08月08日

犬と踊ろう

どうも最近、トレーニングについての記事を書けていない!トレーナーなのに!
どうしてもトレーニングについてのブログは書くのに時間がかかるため、なかなかアップできないのですが、今回は久々に。ドッグトレーニングに大切な「ハンドリング」についてのお話です。

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ポジティブバディを始めて1か月。多くの方が参加してくれていていますが、人によって難易度の感じ方は様々。ジャッジ役をしていて色々思うことがありました。

課目によって、犬と対面してからのスタート。というものがある。
これがなかなか。対面するのに悪戦苦闘する方がちらほらと。
犬を所定の位置に飼い主が思うがままに誘導できることはハンドリングの基礎。それが出来ると出来ないでは犬との関係性は大きく違うと思う。

苦戦してしまう方へのアドバイスとしては大きく三点ある。
一、飼い主への集中力。
二、犬に伝わる表現力。
三、犬の動きを自然に予測する力。

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最も大事なのは三つ目。これが分からないと残る二つもまとまらない。

自分が歩いたら犬がどの方向からついて来るのか。
どうやって手を動かしたらこちらが望む行動を犬がしてくれるのか。
触るときのタイミングや角度はどうすれば犬が逃げないのか。
いつ声をかけたら犬は反応をしやすいのか。

予測というのは例えばこんな感じ。一つ一つを頭で考えているうちは動きが噛み合わない。教えてくれるのは今隣にいる犬。犬こそが最大の師匠。試行錯誤してでも積み重ねる時間がハンドリング技術を向上させてくれる。
ただし間違っても犬にさせようと思う気持ちを強くしすぎてはいけない。
犬は追えば逃げる動物。
こちらがさせる気持ちを強く出し過ぎると、飼い主から遠ざかってしまうもの。

ハンドリングの極意は吸い込み、受け流すこと。
そんなこと言葉で言われたってややこしいわ!という方のために試してみてもらいたいことが二つほど。

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まず一つは後ろへ下がるという動きを多くするよう心がける。これだけでも犬の興味を引けるようになるかもしれない。それに合わせて犬が付いて来る度にオヤツをあげたり、触ってあげたりと嬉しい結果を付加させていく。

もう一つは、犬に話しかけるのを一旦止めてみる。
おいで、おすわりとか、指示を出されること自体を犬がネガティブに捉えてしまっていることは案外多い。
特にハンドリングに行き詰っているペアにはよくあること。
一旦それらを外して体の仕草、いわゆるボディランゲージだけでハンドリングをしてみると見えていなかったことに気付けるときがある。
良く犬の動きを観察すること。独りよがりなハンドリングに犬は応えてくれない。

それら全てが犬と通じ合ってきたとき、ちょっとオーバーな表現かもしれないけれど、犬と踊っているようなハンドリングになっていく。そんな息の合ったハンドリングは自然に周りの人の目にも綺麗に映る。
犬に踊らされているうちはまだまだです。

なんだかいつになくHowtoな感じの記事になってしまったけど、
それだけポジティブバディを始めて、ハンドリング技術を高めることの重要性を自分が意識しているからなのかもしれない。
トレーニングしていてなかなか上手くいかないよ!と言う方は是非ご相談を!

posted by 安田和弘 at 18:04| Comment(0) | ドッグトレーニング

2016年05月03日

芸は身を助ける

トレーニングに通う飼い主さんはそれぞれ目的が異なる。

パピーを迎え、将来良い子に育てたい。
通うことで犬に継続的な社会化をさせたい。
問題行動があってそれを解決させたい。
犬という動物を学びたい。
犬との暮らしをもっと楽しみたい。

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自分としては共通して、犬との暮らしをより豊かにするお手伝いしているつもり。そんな十人十色のトレーニングだけど一番登場回数の多い道具といえばやっぱりクリッカー。
時に目的をもって、時にお遊びで。犬に様々な新しい行動を教えるための便利ツール。

〇〇な行動にお困りのあなた!こんな行動教えたら役立ちまっせ!
〇〇を怖がる子にはこんな行動を教えてみたらもっと自信がつくんじゃない?

そんなお話から新しい行動を教えてみよう、みたいな流れになる。で、無事に行動を犬が頑張って覚えてくれました!とここまでの流れは良い。ただ問題はその教えた行動を本当に暮らしに活かせているかというところ。今回はその辺の分かれ目について。

例題として「首輪に犬自ら顔を通す」という行動を新しく教えるとします。
普通の首輪だと顔から通すくらいの余裕のあるサイズだと散歩へ行ったら抜けてしまう。便利な道具はあるもので下記写真のような顔から通しても抜けない首輪があります。

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この道具は犬が後ろに下がる動きをした瞬間、部分的に首輪が閉まる動きをするため抜けることがない優れもの。ヘッドが浅く首輪が抜けやすい柴犬などにはお勧めの商品です。
と、商品紹介はこの辺にしまして。

散歩へ行くとき首輪を付けようとすると逃げる。実はけっこう多い相談。散歩は好きなんだけど、捕まって身体を拘束されるのが嫌い。それがこじれると犬は意地でも来なくなる。そんなときに犬が自ら首輪に顔を通してくれたら?そりゃ飼い主からしても楽だし、犬としても楽しく散歩へ行けるってことで悪い話じゃない。
そんな訳で、見事トレーニングで首輪に顔を通すように犬が覚えてくれました!それ以降散歩へ行くときにも逃げなくなって大助かり!という飼い主さんもいれば、結局練習するときには顔を通してくれるのに、いざ散歩へ行くとなると何故か上手くできない、という飼い主さんもいる。
この違いはどこにあるか。
それはトレーニングの計画性と、犬の学習の理解、後はハンドリングだと思う。

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トレーニングには計画性がいる。首輪を通すことを覚えたら次は場所を変えてみたり(玄関や庭)、姿勢を変化させてみる(飼い主が座る、立つ)それも出来たら今度は決まった時間以外にも抜き打ちで練習してみる(犬が寝ているときに呼んでいきなり始める)
そうやって様々な状況でも出来るようにする。いわゆる般化トレーニングを重ねていく。

後は犬の学習を理解すること。よく練習ではオヤツをあげるのに何故か本番(散歩へ行くとき)にはあげない方がいる。本番でこそオヤツをあげるべきなのに。また、覚えたての行動に苦手意識を混ぜるのも厳禁。例えば捕まえて苦手なブラシをしたいからと新しく覚えた行動を使ってしまうといったこと。追々やるならともかく、最初はやはり嬉しい結果のときにこそ使うようにしておきたいところ。

そしてハンドリング。首輪に通すという行動のポイントは、飼い主からは首輪を犬に近づけないこと。あくまで犬が自ら顔を通すという所が重要。けれどお散歩に行くときはその間を待てず、つい焦って首輪を犬に近づけてしまう。で、犬はそれに焦って首輪から逃げる。最後は無理矢理、騙し騙しに付ける。そうして次の機会からは犬は警戒し空気を読んでしまい、また騙し騙しという悪循環。

このように考えるとトレーニングを物にするためには努力と忍耐が必要です。そこを気を付けないとせっかく教えた行動も一芸止まりで終わってしまう。
芸は身を助ける。
この言葉の通りにするために、目の前の結果に焦らず計画的な練習をしていきたいものですね。ドッグトレーニングの醍醐味は努力が実った瞬間を実感できた時だと思うから。





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おまけ
こどもの日にちなんだ一芸です(笑)


posted by 安田和弘 at 19:28| Comment(0) | ドッグトレーニング

2016年04月05日

犬の緊張感はどこからくるの? 後編

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動物病院で犬を緊張させない工夫。前回のブログの続きです。
今回は写真と内容には一切関わりありません。春爛漫の桜をお届けします。

「○○ちゃ〜ん!大丈夫だよ、大丈夫〜!すぐに終わるからね〜!」

やや高音な声で犬に話しかける。動物病院の診察台の上でたまに見られる光景。実際に見ると必死に暴れる犬を飼い主なり看護師が抑え込んでいたりする。診察するときに犬を動かず固定する持ち方を保定といいますが。

結論から言うと、自分は保定の際には基本声をかけない派。なぜ声をかけないか。犬からの信頼というのはどんなことか。今回はそんな話。

まず大前提として、犬は言語によるコミュニケーションには頼らない動物。
当然大丈夫という言葉の意味は分かりません。犬にとって大丈夫かどうかの判断基準は、その環境が普段と違うかどうか、差し迫った脅威が近くにあるか、また飼い主の様子が普段と違うかどうか、そういう情報から現在の状態が安全か危険かを判断してたりする。

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言語によるコミュニケーションはしなくても、言葉と出来事を関連付けることはできます。例えば「お散歩」という言葉の後に、外へ出かけることが繰り返し続けば、「お散歩」と言われると外へ行けると喜ぶようになる。

では病院で診察中に言われる「大丈夫」はどうか。大丈夫と言われた先に怖がりる犬には救いが来ない。
大丈夫と言われたのに、その後にも怖い体験や時間が続いてしまうと、その言葉、その人の信頼は失われてしまうように思う。そうなると「大丈夫」という言葉は犬を不安にさせる合図となり、声をかける度に犬の不安感は大きくなってしまう。

病院での治療や保定なんて大したことじゃないって印象付けたいわけだから、こっちも普段通りにしている方が違和感ないだろう。犬の不安を取り去ろうと普段と違った雰囲気で犬の傍にいたら、その人に安心感を感じられなくなってしまう。犬が困ったときこそ、飼い主は動じずいてほしい。
自分が犬を保定しているときは必要以上に声もかけない。ただ保定を終えた瞬間は愛情を込めて声をかけたり褒めたりする。そのとき多少オーバーなリアクションになっても問題ない。

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保定をするときに大切なのは、犬にいつからいつまで我慢する必要があるのかを教えることだと思っている。
保定をしているときは犬が暴れない限り、なるべく力を入れず脱力して優しく包み込む。このとき犬に身体が密着している面積は大きいほうが良い。犬が暴れるときも抑えるというより、身体を固めて固定する方が犬が落ち着くまでの時間は短くなりやすい。
そして処置が終わり保定を止めるときは一気に解放してあげる。我慢をする時間はこれで終わりだよ、の合図として。このとき終わりを強調するためにオヤツを使ったりするのがお勧め。

ここからは病院でのハンドリングに限ったことではないけれど、
どうしても保定をするときは犬は少なからず緊張感を感じてしまう。でもその緊張感の出所が飼い主に対してであれば犬は悪くならないように感じている。
緊張感の出所が飼い主ではない何かになってしまった時が問題。具体的に言うと散歩中に他の犬に高反応してしまう犬をハンドリングしていたとする。そのときに飼い主が犬に対してプレッシャーをかけたとする。例えばマテの指示。そのとき犬が飼い主の指示に対して緊張をしているのならば悪くない結果にできる。
ただ同じようにマテの指示をかけた場合に、近づいて来る犬に緊張をしている状態になった場合、たいてい犬は指示を守りきれず相手の犬に対してなんらか反応をしてしまう。こうなってしまうと飼い主の指示は火に油。ただ煽っただけのマイナスなハンドリング。
この二つの分かれ目は相手の犬に対してどれだけ恐怖心があるのか、また飼い主に対しての関係性によって違ってくる。こういう表現があるからこそ、人によっては上下関係がどうとか、リーダーがどうとか、そういう見方になるのだろう。
自分は少し違った視点で考えている。またそれは別の機会に語ります。

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病院で犬を緊張させないためには、やはり日常的に保定動作を練習しておくのが良いと思う。日々の繰り返しがあってこそ、犬は慣れた様子で診察を受けることができるから。
やっぱり犬が健康で長生きするためには病院の存在は欠かせない。だからこそ犬にとって病院が悪いものにならないように飼い主は普段から出来る努力をしてあげたいですね。

posted by 安田和弘 at 20:32| Comment(0) | ドッグトレーニング

2016年03月29日

犬の緊張感はどこからくるの? 前編

あっという間に春ですね〜。
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春と言えば動物病院。狂犬病予防注射やフィラリア検査などなど。病院も最も混雑する時期です。
今回は動物病院で気を付けたい犬への接し方のお話。

自分もつい先日ビーを連れて狂犬病予防注射を打ちに動物病院へ。混雑時は車内で順番を待つことが多いけどこの日はあまり混雑していなかったので待合室で待機。同じ動物と暮らす人間という親近感からか結構な頻度で話しかけられたり、ビーも触られたり。診察室ではワクチンついでに健康診断とワクチンについて前から検討していた抗体価検査についての事などを獣医師に説明してもらいました。とても良く説明をしてくれる病院で気づけば30分くらい診察室にいたかも。抗体価検査についてのお話は非常に有益でした。それについてはまたの機会に。

さて、動物病院内で問題となりやすいのは
@待合室での待ち時間
A診察中の台の上

待合では閉鎖的な空間に知らない人犬がいて逃げられない雰囲気、しかもその直後には診察。台の上に乗せられてからは針で刺されたり、抑えられたり・・・。
怖がりの子にとってはまさに試練の時。
ビーも元々かなりの病院嫌いで以前は台の上に乗っけるだけで震えて半端ないくらい脱毛していた。
その頃から思えば随分と慣れたように思う。

動物病院で怖がりにさせないポイントはいかに犬を緊張感を出させないか。
そのためにまず考えたいのはご褒美の存在。

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最近は犬のトレーニングに関心がある動物病院が増えてきていて、パピーが診察に来ると社会化としてオヤツを食べさせてくれたり、犬に痛みや恐怖を与えないような診察の仕方を考えてくれている所もある。ビーの掛かりつけの病院も待合室には獣医師推奨オヤツのサンプルが複数あったり、診察後には獣医からオヤツをくれたりと嬉しいサービスが多い。

でもそんな動物病院の方針とは関係なく飼い主側が犬のご褒美を用意しておくことが重要。
inthedogでトレーニングしている犬ならば殆どのケースでパピー期からブラッシングや足ふきなどでオヤツを使って慣らすという事をしてきたはず。我慢しただけの対価をあげるという事で自宅では終わった後にあげてる方多いと思う。でも何故だかその割に動物病院では持参してない方が多いように思う。
どう考えても日常の手入れに比べて動物病院での診療の方が犬にとってのストレスは高い。日常の手入れでご褒美を減らしていくならまだしも、病院では是非にあげてほしい。

あげていない飼い主側の意見でよく聞くのが、獣医さんの前でオヤツをあげると嫌がられそうという話。確かにオヤツの存在を良く思っていない方もいるため、代わりにドッグフードを使ったり、一言あげる前に意図を説明しても良いと思う。気を使って台から降りて待合室に戻ってからあげる、ではなく台の上であげる。ここが大事。やっぱりご褒美の効果を出すにはそんな直後が望ましい。タイミングは体温を測る、触診、注射、などなど、そうした一工程事にあげられたらベスト。

食べる食べないの選択は犬の緊張度合を図るのに最も分かりやすい。
パピーからそうした方法を継続しており、その場で食べる習慣がある犬は恐怖心が多少高まっていても案外オヤツを食べられるけれど、成犬から使うようにした場合、怖がりの子はなかなか最初食べられない事も。
そういった場合は美味しいオヤツを使う、一度に与える量を増やす、空腹状態で病院へ行く、与えるタイミングを変える、等々色々なアプローチがあるので相談頂ければと思う。

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緊張感を出さないために普段から良い印象を刷り込んでおくこと。どうかもっと気を付けてくれる飼い主さんが増えますように。緊張感を増やさないハンドリングについては次回に!後編へ続きます。



posted by 安田和弘 at 16:57| Comment(0) | ドッグトレーニング

2016年03月01日

あなたを嫌っているわけじゃないよ 後編

前回のブログの続きです!
後編では攻撃性との向き合い方について思うことを書きます。

咬まれるかもしれないと思いながら犬と暮らすことは本当に大変なことだと思う。前回のブログにも少し書いたけれど、攻撃性を改善していくにはまず繰り返し悪い学習をさせないこと、つまり咬む機会を極力作らないようにするのが大切。行動が出ない期間が長くなればなるほど、その行動は出にくくなるから。しかしその分だけ人は咬む行動を出さないようにと暮らし方や接し方を気を付けなければいけないため、気持ちは窮屈に感じてしまう。

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それにどれだけ攻撃的になっていない期間が延びても咬まなくなったわけではない。残念なことだが、咬むことを覚えてしまった犬に、全く咬まない犬にするトレーニングというのは基本的には存在しない。いや正確には自分が知る限りは存在せず、自分にもそれはできない。だからトレーニングが上手くいっていても、飼い主はいつも心の片隅で犬の攻撃性を気にしていなければいけなくなる。

なかなか上手い話というのはないもの。噛み癖、吠え癖を即座に治す、みたいな情報はネット上に多数流れているけれど、実際はそう簡単な話じゃない。原理としては攻撃性が出る初動を罰で抑制させ、攻撃的にならなければ嫌な事や痛い目にはあわないということを教えていくというようなもの。
あくまで行動は一時的に抑制されているだけなので、同じ状況を何度も繰り返して咬む選択肢を犬が諦めるまで続ける必要がある。
それは結局出来る人にのみ効果が出る。例えば訓練士が預かり訓練中に犬にそれを学ばせたとしても、預かり後に飼い主が出来ないとなると犬から見た人の差が露骨についてしまう。
咬まれる怖さがある飼い主が犬に罰を使うことはとても難しい。咬まれても勝てと言われても気持ちがついていかない。それになにより方法としてリスクが高すぎる。そういった点からも根本から咬まない犬に変えるということは望めない。

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ただトレーニングに効果がないと悲観はしてほしくない。
今までだったら咬むであろうシチュエーションで咬まなくなるという変化は作っていける。例えば首輪を付けようとすると怒っていた犬がトレーニングをしていくことで首輪を付けることを受け入れてくれるようになる、といったもの。その過程が容易か、もしくは困難な道のりかは犬によっては異なるけれど、一つずつ出来ることを増やしていけたら?それは結果的に咬まれない暮らしに近づいていくことだと思っている。

犬に咬まれた人の多くは「こんなに可愛がっているのに」「私のことを嫌っているのか」などと話す。
また咬むことについても「本当は悪いと分かっているはず」といった見解をされる。

犬に対して人間の善悪の思想や道徳観を持ち込むのは的外れなことだと思っている。これは攻撃性に限ったことじゃないけれど。確かに犬には喜怒哀楽があり、他者に愛情を注ぐことができる存在。ただ人を傷つけるのは悪いとか、他者への幸福を願ったり、思いやりができるのは良いとか、そういう感覚は擬人化だと自分は思う。

犬が咬むという行動をするのは単純にその時に咬む選択をすることの利点を学んだから。飼い主を裏切っているわけでも、嫌っているわけでも、まして罪の意識に悩まされながらでもない。飼い主を愛していても咬む犬は咬む。それは人間には理解し難いことかもしれないけれど。

我が家のビー、我ながら良い信頼関係で結ばれたパートナーだと思っている。遊ぶときだけじゃない、ブラシをするときも、目薬を指すときも、それらを嫌がらず受け入れてくれている。だけど、お風呂に入れるときは別。逃げたり怒ったりはしないものの、準備をしている段階からテンションは下がり表情も固くなる。
ビーは自分のことは好きだけど、お風呂に入れようとするときの自分は好きではないだろう。
そんな状況によって様々感情が変わるのが犬という動物。好きなものは好き。嫌いなものは嫌い。とてもハッキリと示す。
ビーはお風呂に入れられている間も我慢をしていれば直に嫌な時間は終わることを学習しているし、ドライヤーの時間が終わったら朝ごはんが食べられるという特典も覚えている。
それがもし我慢ではなく唸るという行動で嫌な時間が終わるとしたら?きっとビーは我慢よりも牙を向いて人の作業を終わらせようと学んでしまうかもしれない。

本当はお風呂が嫌いだけど、飼い主に迷惑をかけたくなくて我慢してる?そんな複雑な発想を犬は持ちあわせていない。それは人間が持つ魅力だろう。
犬という動物はとにかく損得勘定によって学習をするものだと思っている。無償の愛みたいなものに期待をするべきじゃない。自分たち人間が動物から幸福感や癒やしを得るのは犬の献身的な態度ではなく、幸せに暮らすその表情からだと思いたい。

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攻撃性のトレーニングはとにかく大変。ただ犬もその分だけ辛いんだと分かってほしい。いつ嫌なことをされるかといつも気にしていたり、気を張って飼い主を見張っていたりしなければならない。
咬む癖を減らすトレーニングというのは、自分たち人間が暮らしやすくなり安心を感じていくだけじゃない。犬にも平穏な暮らしを与えていくものだから。
どうか変化を諦めず、でも根を詰めないで気長に気楽に続けていってほしいと思う。


posted by 安田和弘 at 19:55| Comment(0) | ドッグトレーニング

2016年02月20日

あなたを嫌っているわけじゃないよ 前編

ここ最近、犬の攻撃性についての相談を受ける機会が増えています。やっぱり数ある相談のなかでも最も大変と言えるジャンルが攻撃性。お堅いテーマですが前後編で攻撃性についてを綴ります。前編は攻撃性の概要について。後編は自分が思うことを書こうと思います。

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プロの家庭犬のトレーナーは誰しも攻撃性に悩む家庭を見てきている。だから依頼をする飼い主側の動機がどうあれ、仔犬の頃から関わっていけるのなら、とにかく攻撃性を出さないように、安心を感じられる犬に育ってほしいと思うはず。
成犬で飼い主を咬むようになってしまった犬。その犬の個性に合わせた育て方ができないかったなど、悔やむところもあるかもしれないけれど、過ぎた事を気にしてもなにも変わらないから。これからどうしていくか、先だけを見てトレーニングに臨みたいところ。

相談には深刻性がある。こちらがある事柄をしなければ犬が唸ったり、咬むことはないというもの。例えば犬に洋服を着せようとしたときに咬んだといったケース。洋服が必ず着せなければいけない理由がない限り、着せようとしなければ咬まれることはない。そういう場合は攻撃性のなかでも軽度と考えている。
同じような話でも事柄が違えば話は別。リードを付けようとしたら咬む、マンションの共用エリアで抱っこしようとすると咬む、これらは犬との暮らしで欠かせないこと。やらないでは済まされない。そうなると攻撃性の深刻性も変わってくる。
もっとも大変な部類になるのは規則性がないような攻撃性。
犬の気分次第とも言えるような、いつもは大丈夫なのにある日同じことをすると咬む。もしくは突発的に犬が怒って咬まれる。そういうケースは対応策も考えにくく非常に難しいケース。ただし飼い主には理由が分からないだけでトレーナーから見れば規則性が見つかる場合はまだラッキーだ。

ここまでに書いた深刻性とはあくまでトレーナーからの所見。どのような攻撃でも犬の大きさはどうであっても、共に家族として暮らす犬が牙を向いたとなれば、そのショックや恐怖感は凄まじいもの。

攻撃性は犬自身を変えていくというよりも、まずは飼い主がどう関わり方を変えていくかが重要。
行動は繰り返せば繰り返すほどに癖になる。だから日々犬が攻撃的になっているというのは、それだけ癖を付けてしまっているということ。逆に攻撃性が出ていない日数が続くほど攻撃性は出にくくなる。だから攻撃性を出さない暮らし方を見つけることが初期のトレーニングにおいてのポイントとなる。
攻撃性を出さない暮らし方が形になってきたら、今度は問題の事柄の改善をしていく。なにか苦手な事に対しての問題であれば、苦手意識を変えていく馴致訓練の計画を立てていく。
飼い主との関係の問題であれば関係を修復していけるようなトレーニングをおこなう。

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周囲からのアドバイスに惑わされることも多くある。その多くはもっと犬に厳しく接するべきという意見だ。
アドバイスをしているのがプロならともかく、近所の飼い主さんといった方からのものなら、あまり真に受けすぎないでほしい。飼い主さんの意見というのはあくまで自分の犬でうまくいった経験であり、自分の犬に対して本当に有効かどうかは分からない。それは不特定多数が見るテレビ番組や本の情報も一緒。
そして厳しくする、いわゆる罰というもの。自分は否定こそしないが、とにかくリスクが高い。下手をするとより攻撃性が悪化してしまうため安易に試すべきではない。
攻撃性に対してこちらが叱ること。それは正に獣と獣の喧嘩。勝つか負けるか。そんな本能的な争いを多くの飼い主さんはしたくないと思う。だから飼い主自身がその方法を望まない限りプロは推奨するべきではない。

攻撃性について語るとどうしても堅い感じになりますが・・・、後編ではもっとちょっと踏み込みます!



posted by 安田和弘 at 19:54| Comment(0) | ドッグトレーニング

2016年01月26日

たくましい犬

今年は暖冬と言っていたのに、まさかの極寒が続きましたね。おかげでビーとは雪遊びできたので個人的には嬉しい限り。
なかには寒くて歩かなくなる、なんて話もちらほら。あれあれ?犬ってそんなに寒さに弱かった?ってなんだかその都度思ってしまいますが。

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小型犬の飼育率が増えるにつれて、犬の暮らしでの立ち位置は変わってきた。外ではなく中へ。玄関よりリビングへ。閉じ込めるのではなくフリーに。どんどん犬の家族としての権利は高まってきているように思う。
それは軟弱になっていくこと?いやいやそんな事はない。犬としての当然の権利だろう。
でも「たくましい犬」はひょっとしたら減ってきてしまっているのかもしれない。

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たくましい犬というとイメージ的にはどう思われるか。かわいいよりカッコいい感じ?でも犬はやっぱり可愛い。当然自分の犬ならなおさら可愛いと感じる。自分が思う犬のたくましさとは、暮らしで起こるストレスを受け止められるメンタリティだと思う。

犬は暮らしのなかで様々な葛藤、ストレスに直面する。空腹、退屈、寂しさ、不快感などなど。
どれだけ犬のためにと生活をしていても、留守番をさせなければならない、犬を横目に家事や仕事といった作業をすることもある、お腹が減っても(ビーなんて食後でもきっと空腹)いつでも食べられるようなこともない。時には散歩中に工事の音がうるさかったり、部屋が少し寒いと感じるときもあるだろう。

じゃあ、これら一つ一つの出来事を可哀想と思い、全て飼い主が解決させていたら?その犬の幸福感は上がるのだろうか。
犬に寂しい思いをさせないように、留守には常に家族や親せき、時にシッターを雇う。仕事を変え、在宅時はずっと犬を構ってあげる。お腹が減らないように、いつでもご飯が食べられるようフードは常に山盛りに。外の騒音が聞こえないようにいつも窓は開けず、外が寒かったり怖いのなら散歩も止める・・・。

そんな暮らしの犬がいたら、その犬は確かに幸せなのかもしれない。けれどその犬はストレスと向き合うことも知らないから、些細なストレスにも敏感に反応し辛い思いをするのではなかろうか。もちろん、そんなときはまた飼い主がストレスを根本から無くせば良いのだろうけど。

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きっと多くの家庭が犬に暮らしの全てを捧ぐようなことはできない。だったら自分の暮らしで犬に最低限かかってしまうストレスには馴れてもらうしかない。
セルフコントロール、自己の意思で感情や欲望を抑制すること。この言葉はドッグトレーニングの世界でも度々用いられる。ストレスに馴らすためには、ストレスを避けるのではなく少しずつでも乗り越えられるようにガイドしていく。自分はそういう考えの育て方が好き。

犬の幸福を比較することはできない、する必要もないと思う。よそはよそ。うちはうち。
自分たちが出来る限りに、犬が幸福感を得られるように暮らし方を工夫し、そしてストレスを乗り越えられる「たくましさ」を教えてあげることが大事なんじゃないだろうか。
言うだけあってかビーは随分とたくましく育ってくれたけど・・・それに甘えず、毎日がもっともっと楽しいと思えるような暮らしを築いてあげなきゃいけませんね。



posted by 安田和弘 at 19:11| Comment(0) | ドッグトレーニング

2015年12月18日

食べ物をつかうということ 後編

食べ物を使ったトレーニングについてのお話。今回は後編です。
前編では食べ物を使ったトレーニングの有効性についてを少し書きました。今回は食べ物を使ったトレーニングでおこりうるデメリットについてのお話です。

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我ながらトレーニングで食べ物を使いすぎているかな?と思うときはある。それはきっと前回にも書いたとおり、数ある報酬のなかで食べ物というツールはとにかく使い勝手が良いためだろう。社会化をするときだって闇雲に他人に触ってもらうよりも食べ物を与えながらのふれあってもらった方が印象は良くなりやすい。ブラシやハウスに入れる、そういう日常で嫌がられそうな事柄も食べ物を関与させておいた方がベターだ。自分は犬に新しい行動を教えるときにクリッカーを使うけど、このトレーニングも食べ物は外せない。
では食べ物を用いたトレーニングの問題点となんだろう?

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一つはその存在感。
例えば食べ物を持って犬を呼び、来たらご褒美をあげる。一見呼び戻しのトレーニングになっているようだけど、犬目線では「食べ物を持っている」というのが呼ばれたら行くかどうかの条件に含まれたハンドリングになっている。
飼い主が呼んだから喜んで来る、それを教えるつもりが、食べ物があるときだけは呼ばれたら行く、そんな風に予期せぬ理解をされていたら・・・まさしく食べ物で釣っているだけ。
使い方を気をつけないと食べ物は存在感が大きすぎるために伝わり方の方向性がズレてしまう。とは言っても少しの工夫で修正できるので飼い主さんの工夫次第の問題でもある。

そして自分が思う大きな問題とは褒めベタなハンドリングになってしまうオーナーが多いということ。
犬のハンドリングを当時学んでいたとき、自分の声掛けだけで犬の尻尾を動かしたり、止めたりしてみるという練習をした。なんで?と思うかもしれないけれど、犬をコントロールするには動物に伝わる表現力を身に付けるのはとても大切なこと。具体的には飼い主の声の強弱、表情、身振りなどがそれだ。楽しそうな雰囲気を出して喜ばせられる、不機嫌な雰囲気のときにはそれを察し遠慮してもらう。言葉を用いた言語コミュニケーションではなく、犬には犬の理解の仕方があり、その伝え方が上手になると暮らしは自然とうまくいく。ただ食べ物を使うとそのコミュニケーションスキルを磨かなくても一定の効果が出るため、それらを練習する機会も後回しにされがちだと最近思う。
パピー期の刷り込みでいろんな出来事に良い印象を付けるため食べ物を使う頻度を増やしたとしても、やはりそれと別に飼い主はコミュニケーションスキルを学び、犬に伝えられるようにならないといけない。それができれば食べ物を減らしていく過程もスムーズになるだろう。

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そう、食べ物はトレーニングの経過に合わせて本来は徐々にフェードアウトさせていくのが理想。でもそれがなかなか難しい。トレーニングに飽きると徐々にではなく突然きっぱりあげなくなる方も多い。その場合にはもちろんそれまでの過程が順調だったとしても学習は振り出しの方まで戻ってしまう可能性は高いだろう。
もっと怖いのは依存。あげないと落ち着かない、あげないとその行動が消えてしまうのではないかという不安感から減らす過程に移行させられないケース。そんなのある??と思う方もいるかもしれないが攻撃性でのトレーニングの場合にはそういった不安感は感じやすいと思う。これも場合にはよるけれど、一生あげ続けても問題のない行動であれば無理に減らす必要はないと思う。(例えば散歩後にする足拭き。一日のうちにやる回数が少ない事柄のため食べ物を一生あげ続けるといっても難しいことではない)
食べ物使って何かを教えると決めたならば最初はケチケチしないでガンガン使う!その後のフェードアウトのことは犬が学習してきてから考えれば良いことだから。

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話が長くなってきてしまいました。自分のなかでの結論は、食べ物を用いたトレーニングはどの犬であれ素晴らしい成果を期待できること。ただそのためには犬の学習を使う人間が理解しておく事、そして食べ物とは違う部分で犬との関係を築く努力が重要。
疑われるのではなく信頼される飼い主になるために。自分にとってドッグトレーニングとはシンプルに言えばそんなことが目的なのかもしれません。食べ物はあくまでそのための一つの手段。上手に使いこなせるように、人は学ぶ気持ちを持ち続けなければいけませんね。

posted by 安田和弘 at 18:04| Comment(0) | TrackBack(0) | ドッグトレーニング

2015年11月19日

食べ物をつかうということ 前編

inthedogではオヤツ乃至フードはトレーニングにおいて必須な存在。inthedogお馴染みのクリッカーという道具も必ず食べ物と関連付けているし。
今回はそんな食べ物を使うトレーニングについて語ります。

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自分自身トレーニングで食べ物を使うということに抵抗感は全くない。そう思う最大の理由が犬という動物は損得勘定によって行動するものだと理解しているからだと思う。
それは人間も根本は同じ。動物は自分にとって好ましい結果に繋がる行動を繰り返し、悪い結果に繋がる行動はおこなわなくなる。それが学習の基礎であり、真理だろうと考えてます。

犬という動物はいつも人を喜ばせたい、人を癒やしたい、そんな風に脚色される。でも実際はどうだろう。
例えば災害救助犬。訓練の仕方は様々だけど自分が経験している訓練は瓦礫のセットの中に身を隠し、犬がその場所を五感を駆使し当てられたら、中から出てきて思いっきりオモチャで遊んであげるという訓練法だった。
介助犬。不自由な人を助ける素晴らしい犬。ただその訓練にはクリッカーを使う。財布を飼い主に拾ったときにはオヤツがもらえる。
そういったサービスドッグという存在は本当に素晴らしい。きっと多くの人たちが自然とそう感じるだろう。でもそれは人を助けたいという犬の気持ち??それが犬のモチベーションになると思ったら間違いだ。
素晴らしいのはどんな状況でも指示が聞けるように教えこんだトレーナー、ユーザー。なによりも難しい訓練をこなしてくれた犬の努力に対して評価をするべき。

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話がちょっと逸れたけど、食べ物という存在は家庭でのしつけにはもちろん、難しい訓練をおこなうときにも、問題行動の改善にも。犬との暮らしを築くにはかかせない物だと思う。

利点は多い。
まずは使いやすさ、手軽感。ご褒美としては食べ物以外にもオモチャ遊び、撫でる、時に匂いを嗅ぐ、リードを外して自由にできるなどたくさんある。その中でも食べ物はすぐに与えられるし、褒めることに時間がかからない。おもちゃ遊びなどは一回一回ご褒美としては時間がかかりすぎるため、使えるシチュエーションは限定されやすい。

次に様々な状況において万能であること。撫でるというご褒美はいつでもどこでも嬉しいか?時には触られることが嬉しくないときもあるだろう。食べ物は満腹でもない限り、いつでも食べれば美味しいという結果になるため、どのような状況でもご褒美としての効き目がある。

そして誰でも使えるということ。撫でることは相手によって嬉しさは変わりやすいし、おもちゃ遊びは上手い下手があり慣れていないとツマラナイと思われる。それらと比べ、食べ物はあげれば誰からでも美味しいし、知識はいるがテクニックは他ほど必要ない。
とは言ってもより効果を高めるための工夫はたくさんあるし、なによりトレーニングはタイミングが命。ただ適当にあげれば良いという訳では断じてないのでお間違えなく。

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まぁ実はここまでは前置きのようなもの。次回には食べ物を使ったトレーニングのデメリットや弊害についてを綴ります。

posted by 安田和弘 at 20:27| Comment(0) | ドッグトレーニング

2015年10月22日

犬にとってフェアな接し方を

犬との信頼関係を築く上で大きな障壁となるのは苦手なことをするときの対応。
この苦手なことって犬の個性にもよるけれど結構たくさんあります。ブラシ、耳そうじ、目やにを取る、歯を見たり触ったり歯ブラシをする、足拭き、爪切り、お風呂に入れる、首輪やリード、洋服などの道具を付ける、くわえたものを渡してもらう、寝ているところを動いてもらう、抱っこ、ハウスに入る、などなど。まだ書き出すと他にもたくさん。
こういった苦手分野の出来事を上手に受け入れてもらえるようにできるか、これが信頼関係を構築するということなんだと最近特に実感。

だけれどどこで道を誤ってしまうのか。それらの幾つか、時には全てを拒むように育ってしまう子がいる。飼い主を不信に思って近寄って来ない関係、これはなんとも悲しいもの。
距離感=信頼関係。 1年くらい前かな?そんなブログを書いたこともありましたが。
やっぱり日常でどんなときにも呼んだらちゃんと自分の所へ来てくれる関係。それこそが信頼関係。

その関係を崩しかねないハンドリングとして「騙す」という行為がある。
下記のようなこと、ついやってしまいがちという飼い主さんも多いのでは?

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ハウスに犬を入れるとき
➀オヤツをハウスに入れておいて犬が食べようと入ったら扉を閉める。
➁ハウスに入って扉を閉めてからオヤツをあげる。

この2つってつまりオヤツをいつあげるかというタイミングの違いなんだけど、ザックリ言えばオヤツを用いてハウスに入れたという所は変わりない。ただ犬から感じる印象はかなりの違いがある。

➀はネズミ捕りの原理。食べ物に釣られて入ったら・・・閉まった!閉じ込められた!って感じ。
犬の学習としては、オヤツを食べに行くという行動をしたら閉じ込められたという結果になっているため、次からは入らないように気をつけよう、って思われても不思議はありません。

➁はハウスに入れば良いことが起こることを学習している、もしくは学習させようとしている方法だ。
行動の結果としてご褒美を使っている、入れば良いことがあるんだよという流れ。
こちらの順序でオヤツをあげるには、そもそもハウスに入るという行動を理解させておかないといけないわけだけど、ハウスを使えるようにするためには、まず先に自らの意思でハウスに入るという行動を教えるのは本来当然のこと。
➀の方法はその自ら入るという行動を教えるより先に、とりあえず入れてしまおうと事を焦っているケースなんだと思う。

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似たような話は他にもたくさんある。ブラシが苦手な子なんだけど、とりあえずオヤツを見せて食べに来た瞬間に確保、そのまま一気にブラシをするっていう流れ。
そもそもブラシが苦手にならないようにどう克服させていくかが重要になるのに、ブラシをして綺麗にしたいという事を重視するとどうしても無理な方法になりがち。

そうやって犬を「騙し騙し」でやった代償は後になると気づく。呼んでも来なくなったり、道具を見せるだけで逃げるようになってしまう。終いにはその時オヤツを見せても食べにすら来なくなる。
犬の気持ちを声にするなら、「あのオヤツを食べに行ったら嫌なことされるに違いない!」そんな解釈になるのだろう。そしてそれをも更に無理矢理を通すと・・・犬によっては唸る、咬むという、最も避けたかった問題行動を学習してしまうことも。

苦手なものは、スモールステップで出来る限り慣らす。ハウスならまず入る行動を教え、実際に閉じ込めるときも入れるのは短時間から少しずつ。安心して待てるように教えられるかが大事。
ブラシなども同じ。騙すようにやってはいけない。一気にやろうと慌ててはいけない。
ブラシを我慢できる程度の短い時間から、犬によってはオヤツなどを併用しながらブラシをされる印象をポジティブにしていく。

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信頼関係を築くコツとは、どれだけ犬にフェアな接し方をしてあげれるか、だと思う。
疑心や不信感のある接し方で貯まっていく負の感情はまるで借金のよう。一度貯めてしまうと簡単には返済できない。将来のためには嬉しい感情を貯金していくことが大事。
目先の融通に囚われず、犬が気持ちよく暮らせる関係を築いてほしいですね。

posted by 安田和弘 at 20:11| Comment(0) | ドッグトレーニング

2015年09月15日

思いやりのある人が好きです。

毎度恒例のように忙しさに流されてブログを更新せず、気づけば秋〜。わんこライフには最高の季節ですね。

久々のブログでは犬同士の触れ合いについてのお話。
トレーナーとしては正しいボディランゲージや飼い主がどのタイミングで介入するべきか、またリードのコントロールのテクニックなどを内容にしたいところ。ただ今回のお話は自分の犬の行動を相手側の気持ちになって考えてみる、という内容。

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「○○ちゃん、一度バシっと怒ってやって下さい、そうすればうちの犬も悪いことを学ぶから」
これまでに何度も飼い主さんから聞いた言葉。

他犬に対して感情のコントロールができていない犬やパピーの場合、どうしても相手の犬に対してしつこい振る舞いをしてしまうことが多い。顔周りを長時間嗅ごうとしたり、追いかけ続けたり、マウント動作をしようとしたり・・・。
犬には教育的指導のような一喝する行動がある。社会性のある犬からのその一喝は、時に力加減を学ぶ良い機会になる。だからそれを期待するって事は確かに間違いじゃないのかもしれない。
でも自分は飼い主のその言葉を聞くとどうにも違和感を感じてしまう。

行動には常に学習の原理がついて回る。
負の強化。ある行動の直後に不快であった刺激がなくなると、その行動の頻度は今後高まる。

つまり相手の犬の振る舞いが嫌だから怒るという行動をした犬は、怒ることで嫌な状況を回避できることを学習しているというわけ。どうであれ怒るという行動の頻度は高くなってしまう。
しつこくする行動を相手の犬にさせるというのは、相手の犬にとっては不快な思いをさせるというだけでなく、怒るという癖になってほしくない行動を学習させてしまうという二重の悪影響が起こる。
だから自分としては「一度怒ってやってください」という言葉は相手の家族と犬にとって失礼なことだろうと思う。

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大切なのはトラブルを起こさせないということ。そのために飼い主は自身の犬だけじゃない、相手の犬のボディランゲージも読み、怒る行動が出る前に止める術を身に着けなければいけない。その努力をせずに他力本願で学習をさせるというのはやっぱりおかしい。犬の教育は飼い主が学んで犬とともに変化をしていく、その過程が重要なんだと思う。
これからの季節は犬とアクティブに過ごす方も多いはず。ちょとした他犬とのふれあい時に相手の犬の気持ちを考える、そんな思いやりに溢れた方が増えていくとうれしいですね。


posted by 安田和弘 at 20:04| Comment(0) | ドッグトレーニング

2015年08月14日

間をとる

世間はお盆休み真っただ中!犬を連れて旅行や遠出をされる方も多いのでは?
外出先で犬を待たせたり留守番させるとき、誰かに犬を預けるとき、電車などの交通機関をキャリーバッグで犬と移動するとき・・・。
今回はそんな道中にも気をつけていただきたい犬と暮らしのなかでの「間」のお話。

例えば旅行先で犬と車で移動をし宿についたとき。犬を部屋に置いて食事に行くとします。
そのときにどのタイミングで犬を置いて部屋から出るか。
犬の性格によって様々なので一慨に正解があるわけではないけど、きっと動物感覚の優れた方ならば犬が環境に馴染むまで外出を控えて待ち、落ち着いた頃合いを見てから出かけようとすると思う。

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同じような話で、犬を自宅で留守させているときに、たまたま犬の様子を見に一時帰宅したとします。
犬を不安にさせないようにと考えれば帰宅した際には最低でも何十分か共に過ごし、犬の情緒が落ち着いたときに再び外出をするはず。もし帰宅して一瞬だけ可愛がりまた出かける、なんてことをしたら犬にとっては不安や寂しさが増してしまうと思うから。

そういう時間のかけ方はきっと犬と暮らしていない人にはピンとこないのかもしれない。この間も友人の家にビーを連れていったとき、すぐに皆でご飯を食べに行こうと話になった。友人はビーを早々にクレートに入れて出かけようと言うけれど、自分としては一旦部屋でしばらく自由にさせて落ち着いてから出かけたいなと思う。
犬にとっては同じ留守番だとしても、生活習慣になったタイミングの留守番は上手にこなせるけれど、経験にないようなタイミングの留守番には不安を感じてしまうことも。だからこそ慌ただしさを作らないための「間」が大切になる。そういう犬目線での思考ができているよという方は、動物の気持ちになって物事を捉えられる力、すなわち動物感覚が磨かれているのかもしれない。

間の取り方というのはハンドリングの分野にも言えます。犬にブラシをするとき、リードをつけるとき、獣医が注射を打つとき、ちょっと怖がりな犬を呼んで触るとき、それら全てには理想的な間、というよりも雰囲気作りというものがある。またそれは別の機会にブログに書いてみようと思います。

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言葉が通じない犬という動物を人間との暮らしに順応させていくためには、やっぱりどれだけ犬目線で考えてあげられるかが大切。それはときに擬人化と紙一重。だけど同じ喜怒哀楽の感情を持つ動物なんだから、思いやりを持って接するということは別に擬人化したって構わないと自分は思います。

犬との旅は時間と気持ちに充分な余裕を持って接してあげたいですね。
どうか皆さんにとって楽しい夏の思い出が築けますように!

posted by 安田和弘 at 20:06| Comment(0) | ドッグトレーニング

2015年07月27日

8週齢規制で思うこと

動物取扱業者の適正化
(1)犬猫等販売業に係る特例の創設

犬猫等の繁殖業者による出生後56日を経過しない犬猫の販売のための引渡し(販売業者等に対するものを含む。)・展示の禁止
*なお、「56日」について、施行後3年間は「45日」と、その後別に法律で定める日までの間は「49日」と読み替える(附則第7条関係)

平成25年9月1日に改正された動物愛護法。上記はその一部分です。この8週齢規制の問題はなかなか議論がまとまらず、未だ推進派と反対派に分かれています。で、とりあえず意見をくみ取って45日になった。来年には施行後3年を迎えるため49日となり、56日にいつから変わるのか目途が立っていないのが現状。
今回はそんな8週齢規制で思う事を綴ります。なんだか結構マジメに書いてしまいましたがご興味あればお読み下さい。

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犬の教育に携わる者としてはこの8週齢規制はできるだけ速やかに、という気持ちになる。
その一番の理由は親兄弟と早期に離れさせることで、犬同士で学ぶ様々な機会を失ってしまうから。それは相手との正しいコミュニケーションの取り方であったり、ルールに従うこと、力加減の取り方や、感情の抑制。将来の性格に左右する非常に大切な時間。それを人間の都合で奪ってはいけない。動物先進国の多くは以前より8週齢規制が法律で定められいる。
早期に親元から離すことで、将来的に性格が不安定になったり攻撃性が出やすくなるというデータを公表している団体もたくさんある。たかが数日の違い…と思われる方もいるかもしれないが、この時期の心の成長は1週間で例えると人の子1年間くらいの密度があると思う。
でも販売業者としては、できるだけ小さく可愛いうちから販売をしたい。それは商売としてだけの感覚では正しいのかもしれない。そうして議論の場では当然のように意見はまとまらなくなってしまう。

改善に向けて尽力されている方々によって、日本でもきっと遅かれ早かれ8週齢規制は実現されていくと思う。じゃあ規制によって本当に今よりも性格の安定した仔犬は市場に増えていくようになるんだろうか?

個人の意見としては問題点があるように思えてならない。それは大きく分けて二つ。
まずはブリーダーサイド。8週齢まで販売をしなかったとしても、健全な8週間を過ごせないのならば意味がない。現状どれだけのブリーダーが子育ての環境に気を配っているのだろう。海外では母犬が子育てをするのに必要な広さでさえ法律で定めているような国もあるなかで、日本は具体的な決まりはなく、実際はクレートのサイズに入れられたまま子育てをさせているブリーダーも多い。少なくても自分が働いたことのあるブリーダーでは排泄物で汚れたクレートを掃除する30分以外はずっと母犬も仔犬たちもクレートに入れたままだった。母犬もそんな不健全ななかで子育てをするために育児放棄をしてしまうケースがとても多かった。

参考URL: 地球生物会議 ALIVE
http://www.alive-net.net/law/wadai/Germany2.html

そして8週齢までの期間は母犬と兄弟にまかせっきりにしているだけでは良い子育てとは言えない。
その子の成長に合わせて人間も手をかけていく。ある一定の時期からは特に人間に触られることや、抱っこなど身体を拘束されること、それらを好きにできるキッカケを作っていく刷り込みをしていかなければいけない。

結局ブリーダーの質が高まらなければ、8週齢の規制ができたとしても仔犬の将来に影響を与えられるほどの大きな変化は出せないように思える。
もちろん、意識の高いブリーダーの方からすれば失礼な話だけど。そもそもそういったブリーダーは法改正以前より当然のように8週齢まで母犬と過ごさせているだろう。

もう一つの問題は消費者、すなわち仔犬を迎える飼い主サイド。
海外で8週齢規制があるのにはもう一つ大きな理由がある。それは8週齢からは兄弟で集団生活をするよりも、一頭に時間をかけて教育していった方が良い時期だから。だから個人の宅で犬を迎えてしっかりと社会化をしながら人間社会のルールを教えていくことが重要。
それなのに仔犬を迎えたのに教育を後回しにし、ペットショップのアドバイスを真に受け、ケージに長時間入れ続けたまま暮らさせるといったことで貴重な時間を不毛に過ごさせる。もしそんなことがあってはせっかくの8週齢規制の恩恵が薄まってしまう。

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もちろん法律がしっかり整備されていくことはとても素晴らしいこと。だけど販売業者のモラルと飼い主の常識、双方が一部ではなく全体で追いついていかない限り、本当に不幸な犬は減らせないと自分は思う。
犬を育てるとは、愛情を持ったブリーダーによって健全に育てられた仔犬を、飼い主が譲り受け、正しい知識によって真心を込めて教育していく。そうならなければいけない。
自分の立場で出来る事は今は限られているけれど、お店を通して出会う多くの飼い主さんたちに対して尽力していきたいと思います。

posted by 安田和弘 at 18:47| Comment(0) | TrackBack(0) | ドッグトレーニング