2019年07月12日

じょうずな犬のさわりかた


上手な犬の触り方
皆さんできてますか?

色々な情報があって実は分かってない、自信はないよ、って方。
お子さんにはあたかも大人はそんなの当然分かっているさ的な態度で、実はなんとなく伝えている、なんて方も案外多いのでは?

ぼーっと生きてんじゃないよって5歳児に怒られないように?!

今回は犬の正しい触り方についてのお話。

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「上手な触り方」とは一体なんでしょう?

自分が思うに、それは相手である犬が気持ちが良い、
触られて嬉しかったと思えたかどうかだと思います。
そう思って接しているかが上手い下手の分かれ目といっても過言じゃないくらい大事な点です。


「寝ている姿がかわいくて」
「今この瞬間ぎゅっと抱きついて癒されたくて!」
「触ると気持ちが良いからずっと触り続けたい・・・」

犬との触れ合いは人の心を癒しますが、その前提条件は犬自身もそれを気持ちが良いと思っていること。
相思相愛にこそ癒しがあるのだと自分は思っています。

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では、
寝ているときに犬が気付いていないまま急に触りにいって犬は嬉しいのでしょうか?
突然近づいてきて勢いよく触られたら?

結論、嬉しくない犬、たくさんいると思います。
最初にも書いた通り、犬自身がその触られ方をされても嬉しいと感じているのであれば、問題なし。
重要なのはちゃんと犬の気持ちを考えて接しているのか、ということです。

犬はみんな触られたら嬉しいんじゃないの??
なんて思った方は、、、要注意!!

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触られるのがどれだけ好きかは個性。犬によって異なります。
24時間いつでもどこでも触られたら嬉しいよ〜なんて犬はほとんどいないと思います。
触ってほしくない、ほっといて欲しいと思うタイミングはあります。人と同じ生き物ですから。

触られるのが好きに違いないと思い込むのは危険。客観的に好きかどうか判断できると良いですね。


では犬が実際に触られて嬉しいと思っているのかどうかを簡単にテストする方法をご紹介。
やり方は簡単。触りたいと思った状況でその場にしゃがんで犬を呼んでみる。
例えば犬がソファで休んでいる状況があったとして。
そのときに犬から近づいてきて自然に触ることができればOK。犬は今その時触られるのが嫌ではないと思われる。
反対に呼んでも来てくれないならば、
犬にとってその状況は触ってほしくはない時という事。

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やってみると普段、人から近寄って触りに行っている方ほど、呼んでも来てくれないという結果になるのではないでしょうか??

犬の上手な触り方の基本は、
人から犬に近づいて触るのではなく、犬から近づいて来たときのみ触る。
この距離感は、犬とのコミュニケーションにおけるマナーのようなものだと考えています。
一定の距離までは人から近づいても問題ありませんが、わずか一歩の距離でも犬が自ら近寄って来れるような接し方が望ましいですね。

人だけ触って喜んでいる片思いな関係にならないよう気をつけて下さい。



あとちょっと気を付けてほしのが、手の出し方。
よく上から犬は触っちゃいけないよ〜とか、聞いたことある方は多いはず。
確かに上から急に触らないということは大切です。

それに合わせて実践してみてほしい触り方があります。
それはズバリ、




ピグモンの手
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そう。みんな大好きなあのピグモンです。
ウルトラマンに出てくる怪獣ピグモン。
怪獣でありながら人を助ける優しい心を持ったピグモン。
なんといってもこの「手」が特徴です。

犬と接するときにピグモンの手のように肘を自分の体に当てて、肘から手の先までのリーチで犬を触るようにしてみて下さい。

理由を細かく説明すると長くなるので割愛しますが、
犬が本当に触られたいときに近づいて来る距離感はこのピグモンの手の長さの内側です。
肩から手を伸ばさないの触れない犬の距離感というのは人が触りたいだけの片思いになっていることが多い。またピグモンの手なら上から触ることが難しいので自然と下から触れるようになるのもポイントです。

ぜひ普段何気なく犬を接するときにピグモンの手でも自然とさわれるか、実践してみてください。


犬の気持ちを常に考える。
そして犬との自然な距離感を築く。

犬の上手な触り方とはつまり、犬とのコミュニケーションそのものです。

posted by 安田和弘 at 09:02| Comment(0) | ドッグトレーニング

2019年02月17日

体罰の必要性について [倫理観]

犬のトレーニングに罰が必要かどうか。昨年のあの番組から再びちょっとした話題になっています。
日本動物福祉協会や日本獣医動物行動研究会が体罰を科学的観点から否定する声明文を出したことが発端です。
昨年もブログに自分の考えを綴りましたが、一、ドッグトレーナーとして、今回もう一度自分の意見を書いておきたいなと思った次第です。

思ったことを書いたら文章が多すぎてえらいことに。
大幅に文章を削減しまして、今回は倫理観という面で自分の考えを書きたいと思います。トレーニングの方法として体罰が必要かどうかというお話はまた別の機会に。



自分よりも弱い生き物に過剰な肉体的苦痛、精神的苦痛を与えることは悪い事。
これって人類共通の常識なのではないのでしょうか?

もし自分の前で犬を思い切りに蹴り飛ばしている人を見かけたら、それを虐待だと批判するのは人として当然。
だけどもし、相手がこれは虐待ではない、しつけです。
そう言ったとしたら?

さらに犬を蹴る理由が、特別なものであった場合はどうだろう。
例えば、過去に通行人を咬みついたことがあり、次に咬むようなことがあれば犬を手放そうと家族で話している。だから通行人に近づこうとしたら厳しく叱っている。蹴り飛ばす理由がはっきりしているので、必要な教育?これは虐待ではないと言えるのだろうか。


その行為が教育なのか、虐待なのか。この線引きは実はとても難しい。特に犬の場合、日本の動物愛護法では表現があいまいすぎるため、よほど残忍な内容であったり、命に係わるような内容でない限りはまず法律的に裁かれるようなことはない。

人間の教育現場においては、どこからが教育の範疇を超えるのか目に見える形にしている。例えば学校教育の場合は文部科学省が学校教育法というルールを作り、どこからが体罰や行き過ぎた指導に当たるのかを明確化している。

ただ人によっては学校教育に体罰も時には必要だろうと思う人もいるかもしれない。それはきっと現場で働く教師も。罰といっても怪我させるような体罰ではなく的確な懲罰だったとして。遠回しな方法よりもその懲罰を用いた方が生徒の心に響き、今後の良い経験になるとしたら。そしてその教師はその適切な懲罰を使える技量がある人だとしたら?きっとその罰は倫理的に問題ない方法なのかもしれない。
ただそういった体罰そのものを時折に認めてしまっては判断基準がなくなってしまう。
必要な罰もあるかもしれないが、それよりも体罰そのものを禁止する教育現場が社会的に正しいと判断したからこそ、厳しいルールを作っているのだと思う。

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話が逸れてしまいましたが、
犬の場合はまだそんなルールそのものがほとんど作られてすらいない。日本の動物愛護法は基本的に「動物をみだりに」殺したり傷つけた場合は罰則があります。みだりってなに!って突っ込みをしたくなるかなり曖昧な表記。

今は散歩など外出へ連れて行かなくても、庭にずっと繋いだままでも、ケージに死ぬまで入れたままでも、食事と水を与えて、そこそこ不衛生にしておかなければ、虐待の定義には当てはまらないのが動物愛護法。多少だったら、しつけという名目で犬を殴ろうが蹴ろうがそうそう罰則なんてありません。

それはおかしい!もっと細かなルールを作るべきだ!と闘っている方々がいます。きっと法改正が進んでいけば何年、何十年後には今よりもしっかりとした基準はきっと作られるでしょう。

自分はいかなる理由があろうとも犬のトレーニングにおいて、殴る、蹴る、は勿論のこと、犬に肉体的苦痛および精神的苦痛を与える方法は虐待として認められるべきだと思います。

そうでなければ、街で殴られている犬をみかけても誰も助けてあげられない。
自分はそんな国に住みたくありません。

ただし、トレーニングにおいて罰が有効となるケースはある。体罰でなくとも、なんらかの道具を用いて犬に嫌悪感を与えることにより、問題解決に至ることはあります。しっかりとした経験、技術力、指導力があれば犬にその後のトラウマを作ることもありません。
自分自身、罰を全く使わないトレーナーではありません。この犬の場合、ここで一度罰を使ったほうが良いなぁと判断すれば飼い主さんに説明をし実践してもらうことはあります。ただその罰は計画的におこない、効果がなければすぐに中断します。

それらは効果的な手法であろうが必要悪。決して正義になってはいけないグレーゾーンだと思っています。だから堂々と公衆の面前で見せられるものではありません。

罰を用いた手法はあくまで選択肢の一つ。
フードを多量に使う手法のトレーニングや体罰を使わない方針のトレーニングなどが犬の教育にとって適切ではないケースはある。でもそういった犬の頭数をはるかに超える数の犬たちが体罰を使わない方向性のトレーニングで良い子に育ったり、問題行動を改善することが出来ているのは紛れもない事実です。それは正解中のドッグトレーナーが証明できる事でしょう。

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どうか日本社会は愛護法を厳しくして、体罰や犬に苦痛を与える教育の一切を否定する国になっていってほしいと心から思っています。
例え鋭い牙を持っていたとしても、犬は人より弱い立場の生き物なのだから。


posted by 安田和弘 at 22:27| Comment(0) | ドッグトレーニング

2019年02月12日

感情の貯金

どこで誰から聞いたかは思い出せない。
でも感情の貯金とは上手いこと言うもんだなぁと最初に聞いたときは思った。

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パピートレーニングのときにブラシを嫌がらないように、フードを食べさせながら少しずつブラシに慣らしていきましょう。なんてアドバイスをするときに、嬉しいという感情をたくさん貯めておきましょうね〜!というような表現が感情の貯金。
ならば逆を言うなら感情の借金とでも言いますか。ブラシを嫌がる犬を強引に抑え込んだり、寝込みを狙って騙すように捕まえたり、そういう不快感や嫌悪感を貯めてしまうのは感情の借金。借金の額は増えれば増えるほど、返済するツケが回ってきてしまう。
借金をしてしまった状況から再び貯金をしていくには・・・。想像するだけでも、なかなか大変な道のりになってしまうような気がしませんか?

そんな例え話としてはパンチの効いてる感情の貯金。
ただ貯金といういうだけあって、それを切り崩さないといけない日がやってくる。

それが怪我や病気、介護といった類。それは避けては通れない。
いつかはどの犬にもやってくる。

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チビー(ちっちゃい方のビー)は昨年末ごろから病院にお世話になる回数が増えた。
若いときは重度の皮膚病で病院通いはあったけど、ここ数年はずっと健康だった。それが14歳近くになったからか病気の症状がチラホラと。
特に大変だったのが馬尾症候群という病気。
聞きなれない病名ですが、ようは尻尾の付け根(その箇所を馬尾と言います)のヘルニア。
椎間板ヘルニアのような歩行障害だけでなく、オシッコや排便もうまく出せなくなってしまうことがあり、重度の場合はケージレストと外科的手術が勧められることもあります。
ビーは幸いにも軽度で薬だけで今のことろ様子を見てはいますが、痛そうなときはなんともかわいそう。

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チビーは動物病院での検査も負担がかかる内容もあったし、うまく歩けないときには不快に思われるようなこともした。これまでトレーニングとしては慣らしてこなかったような検査や経験をたくさんさせた。
そういう時に、今まさに感情の貯金を使っているんだなぁって実感する。
ビーは今のところ、人がすることを嫌がらない。相手が自分でも獣医でも、人を信頼してくれているなって今までのどの瞬間よりもそう思える。トレーニングの集大成が今この時。

言葉が通じない動物だからこそ。治療や介護の意味を動物には伝えることができないからこそ。
人がすることは大丈夫だと信じてくれるように、若いときからコツコツと感情の貯金をしておくこと。
今まで上辺だけで理解していたなぁって。

シニア犬との暮らしから得られるものはとても大きい。
老化することで変わる行動の変化もとても勉強になる。チビーの場合はどんどん仔犬のような仕草が増えて愛おしい。

やっぱりビーは自分にとっての一番の師匠だ。
まだまだたくさん学ばせてね。

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posted by 安田和弘 at 19:58| Comment(0) | ドッグトレーニング

2018年10月01日

久々!飼い主向け勉強会のお知らせ

このところ他所でのセミナーばかりでしたが、
久しぶりにinthedog店内にて飼い主向け勉強会をおこないます!

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テーマは
「犬同士のコミュニケーションで気を付けたいこと」

お散歩中に他の犬と出会ったとき、ドッグランに行ったとき、
私たち飼い主はどんな知識を持ち、なにを気を付けるべきか。

自身の犬のため。
相手の犬のため。

飼い主のちょっとした動き一つで犬たちのコミュニケーションは変わります。
皆でわいわい勉強しましょう!

日時:10月21日(日)
   10:30〜12:30
料金:一組2000円(一組2名様まで)
完全予約制:メール又はお電話にてご予約お願いします。

※今回は座学メインの内容となります。犬連れを希望される場合はご相談下さい。

※定員に達したため募集を終了とさせて頂きます。


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posted by 安田和弘 at 14:17| Comment(0) | ドッグトレーニング

2018年08月11日

癖になった行動を変えるには

突然ですが!
ぱっと腕を組んでみて下さい!右手か左手どちらが上になりましたか??

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今度は意識してさきほど組んだときと反対の手が上になるよう組んでみてください。
組んだら一旦手を戻して。
これを何度も繰り返すと、そのうち無意識でも反対の手が上になる組み方ができると思います。いわゆる反復学習というものですね。

けれど数日後にでも突然腕を組んでみると・・・また一番最初にしていた組み方に戻ってしまう方は多いはず。
癖というのはそう簡単には変わりません。常に意識をして習慣化するまで続ける必要があります。

実はコレ、ドッグトレーニングでも同じ話。
癖になってしまった行動を変えたい。

・引っ張り癖
・吠え癖
・飛びつき癖
・咬み癖

問題行動の相談ではよく「癖」の文字が付いている。
癖となった行動も、初期にはなにかしら癖になるだけの理由はあったわけで。ただ行動が繰り返されていくうちにより手短に手軽にその行動をするようになっていく。
癖と言えるほど繰り返し強化されて続けた行動。どうにか減らしたいとトレーニングの相談にみえる方は多い。

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そこでトレーナーは学習理論に基づいて様々なトレーニング方法をアドバイスする。

・代替行動分化強化
・他行動分化強化
・非両立行動分化強化
・正の弱化、負の弱化
・馴化
・消去

などなど行動を減らすと言っても様々な手法がある。言葉はごちゃごちゃして紛らわしいが、理解してしまえばどれも至ってシンプルな内容ばかり。
興味あるぞという方は google先生にでも、
安田にでも聞いてみて下さい。


せっかくなので一つ、代替行動分化強化というものを説明します。

これは人にとって望ましくない行動の替わりに別の行動を強化するという手法。

たとえば、
人がソファで休んでいると、退屈でおもちゃで遊んでほしくて、それを吠えて催促する犬がいるとします。

・人がソファに座っているときに
                ↓   
    犬が吠えると
                ↓
    犬が喜ぶおもちゃで遊んであげる。


この吠える行動が遊びの始まる合図になってしまっている。


・人がソファに座っているときに
                ↓
 犬がベッドで休んでいると
                ↓
 犬が喜ぶおもちゃで遊んであげる。

こっちの「ベッドで休んでいる」行動に合図を替えましょうということ。

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犬は吠えてもおもちゃで遊んでもらえないが、替わりに、ベッドで休んでいるときはおもちゃで遊べる。
これを徹底していると犬は遊んでほしいときはベッドに行って休んで待つようになる。
これが代替行動分化強化。

さてここからが本題。
癖になった行動である[吠え]
吠えても、犬にとって好ましい結果[おもちゃで遊ぶ]という結果は得られない。
この結果を与えないで行動の癖をなくす手法を消去といいます。

この消去という学習はときに動物にとってはフラストレーション、ストレスがかかる。
言語で犬の気持ちを代弁すると、
「なんで今までは吠えると遊んでくれたのに、突然遊んでくれなくなったんだよ!」みたいな感じ。

でも学習理論に沿った手法で、替わりの行動をすれば遊んでもらえると教えられたら?ストレスは少なくなる。その学習をさせるのに必要なのは継続性と一貫性。

では中途半端に消去をしたり分化強化をされた犬はどうだろう?
「昨日は吠えると遊んでくれたよね?今日はだめのかな?もっと吠えればいのかな?!」

犬は答えがはっきりしないコミュニケーションに永遠振り回されるはめになる。


問題行動を治すトレーニングをおこなう時、飼い主には習慣を断ち切る精神力が求められる気がする。
ただ一番ストレスを感じているのは犬。
最近はトレーニングで罰的な方法が推奨されなくなってきた。それは犬に痛みや苦痛を用いて教えることが効率的ではない事。そしてなにより人道的ではなく、可哀想だから。
けれど罰的な刺激を使わないトレーニング=犬に優しいというわけではない。
消去の学習では罰は使わないけど、犬は学習するまでにはイライラするし、場合によっては多大なストレスがかかる。
そこは忘れちゃいけない。

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だから消去のストレスを最小限にするためには日替わりのような気まぐれな接し方ではなく、
必要なのは、

ルール(手法)が定まった接し方
[計画性]

学習するまで根気よく続ける
[一貫性と継続性]

人間自身も犬への接し方を意識的に変えるのはほんとに大変!!
トレーニングの計画性が人にも犬にも合っていて成果が出そうならば、せめて3週間くらいは一貫性を持って続けていただかないと、行動は習慣には変わらない。

犬には常に人の都合に付き合ってもらっているだけだから、飼い主、トレーナーを含め、人間は犬の努力が無駄にならないように真剣に頑張らないといけませんね!

posted by 安田和弘 at 17:51| Comment(0) | ドッグトレーニング

2018年07月11日

犬に善悪はあるか?

人間界の暮らしには善悪、道徳心というものが欠かせない。
他人を傷つけてはいけない。人の物を奪ってはいけない。無断で人の所有地に入ってもいけない。
これらは全てしたら悪い事。場合によっては法の裁きが下る。
相手が傷つくことをしたくない、傷ついてほしくないという気持ちは善意と言えるのではないだろうか。
今回はそんな犬の善悪について。果たして本当にあるのかを考えてみたい。

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犬の善悪を問う時。どんな状況があるだろう。
日常のなか実際にあった相談を例にすると、

@飼い主が大事にしていたお財布を噛み壊した。
A普段は失敗しないトイレを留守の間に失敗した。
B人に咬みついて怪我をさせた。

あ、@は自分の経験でした。ビーに壊されたボロガリの財布・・・。

相手が大切にしているものを壊す。嫌がらせで部屋を汚す。相手を暴力によって傷つける。
どれも善悪で言うところの悪と言えるかな。

善悪が犬にあるとすれば、犬にこれは悪い行為と教える必要がある。飼い主は悪意を善意に変えなければいけないと思うかも。

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人間界では悪意によって相手を傷つけた場合はペナルティー「罰」が与えられる。起こった出来事に対して厳しく犬を叱るかもしれない。
悪意を更生させるにはと日常から常に厳しく接することをする人もいるかもしれない。


自分は一トレーナーとして、
一犬と共に暮らす飼い主として、
犬に人間が思うところの善悪はないと思う。

A留守番中の排泄の失敗も嫌がらせのようだとよく言われることだけど、
「よくもオイラを置いて出かけていったなぁぁ!腹いせにトイレシートから後ろ足だけはみ出してオシッコをしてやる!後で掃除するときに困る感じにしてやるぜぇ!」

みたいな?解釈としてちょっと無理があるのではなかろうか。

それよりも飼い主に置いて行かれた状況下で不安定になりトイレシートの上でする行動が崩れた、のような推測の方が自分はピンと来る。

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そもそも今回のような哲学的なテーマを自分が語るのはおこがましいが、善悪の概念には、自分の行動を悔い改める、「反省」というものがあってこそだと思う。
あのとき、行動しておけば良かったなぁとか。傷ついている相手を見て言い過ぎてしまったなぁとか。
自分の過去の行動を悔やんで次に活かそうとすることこそが人間らしい、人間ならではのものだと思う。
動物は過去の行動を反省するというより常に今、このときを生きている感じ。

人間の方がひょっとして犬よりも未完成な存在なのかも。
動物世界のコミュニケーションの方がシンプルで合理的。争いを避け平和に過ごす方法も、人間が邪魔しなければ確立されている。そして人から見たら冷たく感じるくらいの他者への割り切り方もハッキリしている。

人間世界の方が複雑で底が見えないくらいややこしい。仲良くしようと思っても争うことになったり。騙し合い争う。そんな世界だからこそ善悪といった道徳心が必要なのかもしれない。

善悪の概念が犬にもある。悪いおこないをしている、という人間側の解釈は

・罰の肯定化。
・実際に問題解決の策を考えない。

という2つの問題点があると思う。

悪いことをしたのだから、それはいけない事なんだと教えるため罰を与えよう。
こういう罰を使うことは正しい、必要な教育だ!みたいな感じで善悪を言う人は苦手。
自分もトレーニングにおいて罰を使うことはあるけど、それは学習理論に基づいた、罰という嫌悪刺激を使うことで一時的に行動の頻度を減少させる効果を狙って使用するのであって、善悪を基準にしたものではない。

罰を使うことを正当化するような感じはどうにも違和感がある。


そしてもう一つ。悪いと分かってやっているという考えの最大の落とし穴。
それは犬が悪いからという事で人間の方がなにも努力をしなくなってしまうということ。
この犬は本当は分かっているのに悪意があってわざとやった。
このような解釈をしてしまったらあとは犬を注意するくらいしかやることがなくなってしまう。

犬が悪いと、簡単に犬を見限らないでほしい。
犬は人間と違う生き物。人間の価値観の外にある存在なのだから。

なぜできなかったのだろう、次はどのようにすれば良いんだろう。考えることを諦めないでほしい。
犬に変化を与えられるのは共に暮らす飼い主だけなのだから。

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犬に善悪の概念があるか。それは学者にだって機械にだってハッキリとは分からない。
自分たちは動物を観察し推測することしかできないから。
ただ、その答えは人から見た常識とは違っているのかも。
そんな人の常識に当てはめるより、まずは犬という動物を人が学ぶ事の方が共に暮らしていくためには大切。


人と犬。まるで違う生き物同士のはずなのに、共に暮らしていると喜びや悲しみを共有し通じ合えることがある。
当たり前に思えるけど、それはたぶん本当は奇跡のような事で。
そんな奇跡があるから、人は犬を愛おしく感じるんだと思います。

posted by 安田和弘 at 11:16| Comment(0) | ドッグトレーニング

2018年02月06日

体罰は教育に必要か

少し前ですが・・・。
とあるテレビ番組で犬の訓練士さんが紹介されました。
攻撃性を持つ犬の行動修正を専門とする訓練士さん。飼い主が大けがをしてしまうほどの咬み方をした犬や、もう手におえなくて保健所に連れて行こうかと悩むような犬を預かり訓練をする。その人に密着したドキュメンタリー番組。

その訓練の内容や訓練士さんの考えは視聴していた飼い主や同業者たちから物議を醸しました。自分は再放送でその番組を見て、その後の反響などを調べました。そしてここ数日のなんとも言えないモヤモヤ感。

ブログに載せようか迷ったけれど、連日番組のことを聞かれるのでやはり今回はこの番組について自分が思ったことを書きたいと思います。

まず訓練士さんがおこなっていた訓練方法。
行動分析学に基づく家庭犬のトレーナーさんたちは否定的。そりゃ、犬を打つは叩くはでは認めようがないでしょうね。
擬人化しての例えは良い方にも悪い方にも錯覚、洗脳のような効果があるのであまり今回は書きたくないけど、あの訓練を擬人化して説明すると、
更生させたい相手の耳をいきなりつねって、それに対して自分を殴ろうとしたら、耳をつねるよりも更に痛いように殴る。それを何度も繰り返すことによって耳をつねられても反撃せずに我慢することを学ばせる。
そうやってわざと相手の攻撃性を出させてそれを潰す。簡単に言うとそういう訓練。

ただ自分はその訓練法が全て間違っているとは思わない。正直過去に似たような事をやったこともある。咬んできている犬に怯まず対峙することの恐怖や感情の高まりも求めらるメンタルも知っている。
ただしあくまでツールボックスの一つとして存在しているだけで、それが、いやそれしか選択肢がないという状況が来ない限りは決して使わない。

理由は三つ。
一つ。それよりも犬に負担をかけない方法や暮らし方が多くあるため、なるべく犬に負担をかけないトレーニングをしたいと思うから。
二つ。自分は飼い主さん自身が犬のトレーニングをすることが大切だと考えている。あの訓練法を飼い主にやってもらう事は不可能に近い。
そして三つ。自分がおこなうトレーニングの形態ではまず効果がないから。
強い罰を使う場合、その後のフォローにはかなりの時間、または日数がかかる。
90分のトレーニングではそのフォローができないため、ただトレーナーとの関係が悪くなるだけという結果になってしまう可能性が高いため。今回の訓練所のように1年間といった長い期間の預かり訓練だからこそ可能だと思われる。


とここまでが前置き!!
実は今回ブログを書こうと思ったのはこの訓練法についてではないんです。

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自分がショックを受けたのは世論の声。
あの番組を見た視聴者の大多数があの訓練士さんに肯定的だったこと。SNSなどを見ても同業者を除けば半数以上の人たちが内容に共感的だった。

普通に考えれば動物を殴ることなんて認められるはずがない。
ただ今回「咬む犬」「殺処分」この二つの言葉によってモラルが変わってしまった。

咬む犬は殺処分。それを治すための体罰は正義。
それをもしも言うのなら、当事者のみが言える言葉だと自分は思う。

そもそもあの番組構成では咬む犬がほとんど殺処分されているみたいに思われがちな作りだが、実際飼い主が入院しなければいけないほどの攻撃性が出ても、手放さず共に暮らしている飼い主は大勢いる。
また体罰を使わない限り、咬む犬の明日はないみたいな進み方も問題。
先ほど書いた通り、そういった犬もいるだろうが、その数よりも多く体罰を使わないで攻撃性の問題解決をしたケースは山ほどある。

それに番組で出てきた柴犬は具体的にどのようなことをして咬んだのか理由も一切紹介されていない。見ていた視聴者は番組の構成に惑わされて、この犬にはもう殺処分しかないと思い込んでしまいがちだが、本当は咬む癖を出さずに折り合いを付けて過ごす方法もあったかもしれないし、犬歯切断術をするといった選択もあったかもしれない。トレーナーも地域によっては手法が偏りがちだが、もっと範囲を広げて探せば人道的に問題解決できる人に出会えたかもしれない。
もうこの訓練しかないというのは見ている人の思い込み。これはあくまでテレビ番組。
真実は当事者たちしか知らない。

あの番組は動物を叩くことを一つの正義として視聴者を認めさせてしまった。
それが許せない。

安易に体罰を真似をする人、叱らない育て方に懐疑的になってしまう人も増えるだろう。半端に厳しくされて育った犬ほどまずいものはない。

体罰は悪。使わなければいけなかったケースが仮にあったとしても、それはあくまで必要悪。決して正義ではない。正義として認められてはいけない。
そのモラルが崩れてしまったら、日本はまた過去に逆戻り。
世界から見て動物福祉の遅れた後進国。野蛮な国だと自分は思う。

教育に体罰は不要。人の教育はそのように変わってきている。それは教育現場だけではない。罪を犯した犯罪者でも、精神疾患を患った患者でも、親子の関係だろうとも、体罰があって当然という時代はもう終わったはず。そこには人も動物もない。
まして人に飼われた動物は人よりも弱者。傷付ける牙を持ってはいても、善悪の概念はない。言語も通じなければ、自身で未来を選択することもできない。か弱い存在だということを忘れてはいけない。

今回間違ったモラルを伝えようとした番組と、それを認めてしまう風潮に、自分は気持ち悪さと危険を感じています。

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posted by 安田和弘 at 13:40| ドッグトレーニング

2017年12月30日

昔言われていた教えを現代語に訳してみる。完

昔言われていたしつけ方を振り返って考えてみようぜブログもラストです。

Gホールドスチール、仰向けといった服従姿勢をさせよ

これが今回のブログテーマで一番言いたかったこと。
かなり流行ったしつけ方法です。まぁ今でもやってる推奨しているトレーナーや行政もありますが。

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これがホールドスチール。
※ヤラセ写真です(笑)


自分が思うに間違ってはいない(この曖昧さが厄介)
やったところで意味をなさない犬や、やらない方が良い気質の犬が多いというのが問題。というよりどっちかに当てはまることのが多く、やっても最初から受け入れちゃってお利口さんねで終わるケースと、過敏になって暴れてしまうケース。そして後者の場合は暴れたら自由になることを教えてしまうといけないから暴れても決して止めない、人には力では敵わないと教えてしまおう!というもの。仰向けにさせて拘束するのも同様の理由。

この方法をネットなり教室なりで学んだ飼い主さんは頑張って実践するわけだけど、
暴れて咬む犬に怯まず咬まれず抑え続けるには相応のテクニックとフィジカルが必要。どうにかやりきったとしても印象が悪い形で終わっていたら、また次やろうとしたときに犬は警戒するようになる。その悪循環の中頑張って続ける結果は人がやろうとすることを疑う、嫌がる犬になってしまうというわけで。

こういった拘束法はツールボックスとしてトレーナーが知っておく分には良いけれど、広く推奨されるべき方法ではない。やってみたら前より凶暴になった、関係が悪化したなんて事はあってはいけない。
大事なのはやり方自体が正しい正しくないではなく、犬と人を見て適切かどうかを判断し最適な方法を提案することだと思う。
どうかテレビやネットなどで紹介される情報を鵜呑みにしないでほしい。

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犬との上下関係がどうだの服従がどうだのという話は嫌いだ。
犬は物をかじりたいときに噛み、鳴きたいときには鳴く。
行きたいところへは行くし、嫌なときは逃げる。
これらは本来、犬の自由であって当然の権利。

でもそれじゃあ人との暮らしはやってけない訳だから、人は犬にたくさんのルールを作る。
それは人の勝手な都合。そんな都合に付き合ってもらうのだから、人がリーダーだの上だので威張ってなんでも従え納得しろでは横暴すぎる。犬には人のルールに協力するなんらかのメリット、「得」があるのは当然だろう。
ときにはどうしてもしてほしくない事は「損」と教えなければいけないこともある。でもそれも「損」だけでは終わらせず、なんらか別の「得」があることを教えるのがトレーニングでは大切。そういった心理的な駆け引きこそがコミュニケーションだと自分は思う。これは友人だろうが夫婦関係だろうが根本は同じだろう。

だからそんなコミュニケーションを上下、服従といった言葉で濁すのは嫌いだ。

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今年もトレーナーとして多くの飼い主さんと犬たちに関わりました。
難しい相談もたくさんあった。やっぱり攻撃性の相談は大変…。大変だがやりがいを感じる。
人だけを見ても犬だけを見ても仕方がない。人と犬で一つの個性だから。
トレーニングの方法は個性に合わせてやり方はそれぞれ違ってくる。
ときにはなかなか進展させられなくて、トレーナーのあがきに信じて付き合ってくれた飼い主さん、なにより犬たちに感謝です。解決策は必ずあると。人にとっても犬にとっても得と思える解決策がどんな問題にもきっとあると。そう信じて来年もトレーニングに向き合っていきたい。

来年はお店でおこなっているポジティブバディもよりパワーアップできるように計画中。このポジティブバディはパピーからトレーニングを続けている方にも、問題行動で悩んでいる方にも同様に打ち込めるように作りました。必要なのは犬に向き合う気持ちだけです。
トレーニングを通じて犬との暮らしがより楽しく、素晴らしいコミュニケーションツールになってくれたら嬉しい。

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なんだかまとまりない内容になってしまい申し訳ありません。
皆さん良いお年をお迎えください。
来年またお会いできるのを、そして新たな出会いをinthedogは楽しみにしてます。

posted by 安田和弘 at 21:50| Comment(0) | ドッグトレーニング

2017年12月29日

昔言われていた教えを現代語に訳してみる。その2

前回の続きです。

A犬と一緒に寝てはいけない。
それと
D犬を人間より高い位置に上げてはいけない。

ソファやベッドに犬が上がってることで上位になる??そんなことは断じてない。というかそもそも犬が上位とかという概念そのものが怪しいくらいだから問題なし。悩むくらいなら一緒に寝ましょう。

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ただ注意点も。まず犬と一緒に寝ることに関して。
過去ブログに書いたことがあるのでご興味あればご覧下さい。

犬と一緒に寝るという事について真面目に考えてみる
http://inthedog.sblo.jp/article/50058664.html

犬って物凄く相手との距離感を大事にする動物。自分が思う犬と理想的な関係というのは人から犬に近づかなくても暮らせるというもの。ブラシをする、リードを付ける、犬を撫でようとするときも、犬から自然に近寄ってこれる接し方こそが良い信頼関係を築くコツだと思っている。犬を撫でたいから呼んでみたけど来てくれないって場合は犬としては今はさわってほしくないときなのかも?そういうやりとりこそがコミュニケーション。嫌かどうか分からないけど自分が触りたいから、なんて事では良い関係は築けない。

それで本題。ソファやベッドなどが犬の主な寝場所になると、人と犬が休む空間が重なることになる。
そうなると共にソファにいる時間が出てくるわけだけど、犬としては甘えたいから人の近くにいるのではなく、たまたま休みたい場所が同じだけで、本当は構ってほしくない時が出てきてしまう。そんなときに犬を撫でるとソファで人に触られることに対して嫌な印象を覚えてしまうかもしれない。嫌だと思ったら犬が離れるのが普通だけど、ソファで寝るのが大好きになると自分から動こうという気は薄れる。こうして最悪、犬によってはソファで撫でようとすると怒る、なんて問題行動が誕生してしまう。これが高いところに犬を上げるな!の語源だと思っている。

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ソファやベッドで共に休んだり寝たりするのは良い事だと思うけど、問題行動にならないよう、降りてといったら降りる癖(降りたら必ず良い結果を!)を付けておくことをお勧めしたい。犬の意思を無視して抱き上げて無理やり降ろすのは基本NG。ちゃんと犬に降りるのが良い事と分からせることが大切。

あともう一つくらいご紹介を。
F仔犬のうちに起こる甘噛みは徹底して直せ

パピートレーニングのお悩み相談でもっとも多い「甘噛み」
昔は甘噛みを放おっておくと本気咬みになる、なんて言われていだけど、まずあり得ない。
理由は動機の違いにある。

噛むこと自体が楽しいのが甘噛み。
危険を感じたり、所有物を守ったりと、相手を退けるために咬むのが本咬み。

それと甘噛みは成犬になるにつれて減っていくが、本気咬みは日にち薬では治らない。
そういった理由から甘噛みはあまりムキになって治そうと思わなくても良い。
甘噛みは遊びたい、退屈だ、のサイン。仔犬のうちは甘噛みなんてする余裕がないくらいに多くの経験と遊びを与えてあげたいところ。

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次回は完結編。今年1年の締めくくり的な内容にしたいと思います。
posted by 安田和弘 at 11:17| Comment(0) | ドッグトレーニング

2017年12月22日

昔言われていた教えを現代語に訳してみる。その1

犬の学習というものを一言で表すならば、
「損得勘定」

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一日一回は?そんな事を誰かにお話している気がする。
自分は損得勘定という言葉が好き。これについてはブログの完結編に。
でも一般的には冷たい風に聞こえるかもしれない。
損得を感じる関係でなくても相手を想って愛を持って人も犬も行動できる、みたいな方が夢があるだろう。

犬という動物は人によって創り出された動物。そして言葉を話さないから、人々によって様々な翻訳をされている。その翻訳の仕方は時の流れの中で解釈がどんどん変わってきた。〇〇的な考えなんて時代遅れといった具合。振り回される犬も大変だ。

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今回はタイトルの通り、一昔前に言われていた躾の教え、それが間違っているのか検証すると共に、できるものは現代風?に翻訳してみたいと思う。

ドッグトレーナーはその数だけ皆色んな考えがある。あくまで今回は独自な勝手な解釈ということは予め言っておきます・・・。

これまでのしつけの定説と言えば、リーダー論。犬と人の間には序列の関係があって犬の上に立つことができれば問題行動も自ずと解決しますよ、というもの。
で、犬のリーダーになるために提唱されていたのが、

@食事は必ず人間が先に食べよ
A犬と一緒に寝てはいけない
B散歩は犬を前に歩かせてはいけない
C扉の出入りは人が先に出よ
D犬を人間より高い位置にいさせてはいけない
E遊びの引っ張りあっこは犬に負けてはいけない
F仔犬のうちに起こる甘噛みは徹底して直せ
Gホールドスチール、仰向けといった服従姿勢をさせよ

他にも幾つかありますが、今回はこれくらいで。
基本的にはそんな事しても問題行動は解決しないよって話ですが、長く言われただけの事はあって役立つ部分もあったり。

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@食事は先に人間が食べよ

守ってる方結構多いです。似た話では多頭飼いの方が先住犬を立てる意味合いで先に先住犬に食べさせる。
これを守ったから犬が人をリスペクトってことにはならないと思う。
ただ犬の食事時間をきっちり決めて(例えば朝は7:00、夜は19:00きっちりみたいな)というのは推奨できない。どうしても犬はその時間を覚えて興奮したり催促したりという行動は出やすくなる。
それに、トレーニングをするときは満腹のときより空腹のときのがモチベーションは上がりやすい。満腹状態で犬を運動させると胃捻転の病気を起こしやすい。それらの理由から犬の食事は犬のイベント事である散歩、遊び、トレーニング等が全て終わってからあげるのが良いと思う。
ちなみに、うちは朝ビーをお風呂に入れた後や爪切りをさせた直後などにビッグなご褒美代わりとして朝ご飯をあげたりしている。
そうなると大事なのは人が先とかどうかではなく、人の都合に合わせてあげるのが良い。
人が主体性を持ってご飯をあげるというのが良いんじゃないかと思う。

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どうでしょう?昔の考えも存外捨てたもんじゃない。そのままの意味で生かすのは難しくても、解釈を変えれば決して的外れな話ではない。
というわけで、残りこの中の幾つかを次回のブログで現代語に翻訳してみます。

posted by 安田和弘 at 19:43| Comment(0) | ドッグトレーニング

2017年10月01日

ビーの不思議な行動。その謎を解き明かせ!


最近ビーが世にも不思議な行動をするようになった。

それは

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飼い主である自分がビーの名前を呼ぶと、他人の元へと向かっていくようになった事!!

その反応は露骨で自分がビーと呼ぶと、即座その声に反応して耳が動く。そしてその後で自分とは正反対の位置にいる人の元へと歩みより顔を見上げて座る。決して自分の呼びかけに反応していない訳ではなく、自分の呼びかけにより他人の元へと向かっていくという・・・。
今回はそんな奇怪な行動をトレーニング目線により解説したいと思う。

ビーは言ってもドッグトレーナーの子である。
未熟だった頃に出会い共に成長してきたとはいえ、人に自慢できるほどの良い関係は築けてきたと思う。
普段の暮らしでは、どんな時だって、なにをする時にだって呼べば迷わず来てくれる。
…ところが!ここ最近、お店にビーを連れてきたとき。今回のような異様な行動に気付いた。
ビーと呼んでも来ない。今までならお客さんの前でドヤ顔で
呼び戻していたというのに!
ビーよ。なぜ俺はここで呼んでいるというのに、反対側へと嬉しそうに走って行くんだい…。

トレーナーたるものこんなときも取り乱してはいけない。行動の謎を解く鍵はいつだってそう、まずはABC分析だ!

Antecedent:先行刺激
Behavior:行動
Consequence:結果

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つつじが丘吠え 2017Aug 例.jpg

犬の学習の基本。
どのような状況で行動し、その結果なにが起こっているのかを読み解く。
ABC分析について過去のブログでもちょくちょく紹介してます。
http://inthedog.sblo.jp/article/69653649.html

今回のビーの行動は、

・お客さんたちの前で自分がビーと呼ぶ(A)
・お客さんの前でビーは座る(B)
・「あらビーちゃんこっち来たのね〜」と言われてトリーツ(オヤツ)を貰う!(C)

なんてこったい。理由はお客さんから好ましい結果を貰ったことじゃないか。
これはいけない。自分も再度呼び戻しをトリーツ使って強化しないと!

・お客さんの前でビーが座ってオヤツに期待している時に自分がビーと呼ぶ(A)
・ビーは一旦こちらに顔を向けるも名残惜しそうにお客さんを見る(B)
・「ビーちゃん呼ばれてるから最後に一つだけね」と言われトリーツを貰う!!(C)

なんてこったい。自分が名前を呼ぶという誘惑に負けないでお客さんの足元に留まるトレーニングが成立してしまっているじゃないか!

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普段の暮らしではこのような事はない。先行刺激(A)に「外」「お客さん」が含まれない限りは。

この行動を修正しようと思うと、
お客さんには一切トリーツをあげてもらわない、もしくは自分がビーに許可を出した時にしかお客さんにはあげてもらわない。
それと、お客さんがいる状況でなるべく自分が多く呼び戻した後にトリーツをあげるようにする。
このような方法で修正可能だと思われる。

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ただ、自分はこの行動を治そうとは考えていない(正直全くないというわけでもない)。
問題行動とは人が問題とさえ思わなければ問題行動ではないのである。

ビーはここ最近お店に連れて行ったり、旅行に出かけたりすると大変楽しそうだ。
こんな風に育つことが出来たのは偏にビーを可愛がってくれた皆さんのおかげ。お客さんや友人たちとの出会いがなければビーは今でも臆病なままの犬だったと思う。
そんなビーが無邪気に?楽しむ姿を見られることは自分にとっても嬉しい。

人も犬もハッピーなら、もうそれで良いじゃないか。

思い通りにならない事も含めて、犬との暮らしを共に楽しもう。

posted by 安田和弘 at 11:23| Comment(4) | ドッグトレーニング

2017年09月01日

クリッカーを通じて犬と向き合う

ポジティブバディでの期間限定課題。多くの方に挑戦して頂けました。
ランダムに選ばれた題目の行動をクリッカーを使って10分という制限時間の中で犬に教えるというもの。
オーナーの運と(笑)実力が試される内容です。

開催期間が二ヶ月間あったので人によっては2回、3回と挑んだ方も。
今回とても嬉しかったのが回を重ねる毎に皆さんのハンドリング技術が向上していったこと。クリッカートレーニングの本質に気付き、より犬に伝わりやすい方法を見つけられたという方が大勢いました。
そういう進化を間近に感じて、本当やって良かったなぁと。

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もちろん時間内に間に合わず、無念な結果になってしまう事もあったけど、その犬と真剣に向き合った10分になにかの発見ができたのなら、結果としては大成功だと思います。

クリッカートレーニングは奥深く楽しい。
理論や段取りが分かってくると自分のアイデア次第で色んな事が教えられる。自発性を引き出す事で、より深く犬に行動を定着させられる。
そして単純に行動を教えるという事だけが目的ではない。
クリッカーを通じて犬と会話ができる。そんなコミュニケーションツールとなれるのがクリッカーの最大の魅力だと自分は思う。

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9月からはまた通常課題に戻ります!参加者の皆様、また合格に向けて練習してきて下さいね。
また今後も面白い企画が出来るよう、知恵を絞って頑張ります!

posted by 安田和弘 at 19:48| Comment(0) | ドッグトレーニング

2017年08月08日

犬歯切断について

犬の犬歯を削る手術。断犬歯という。
手術の方法にはいくつかあるけれど、全身麻酔をかけておこなう。犬歯を切断し周りの歯と同じ長さに揃える、もしくは犬歯を抜歯するという手術。

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攻撃性に悩んでいない飼い主が聞くと、そこまで犬にしないといけないの?可哀想。飼い主のエゴ。トレーニングをするなど他にやれることがあるだろう。そんな風に思う方は多いと思う。
今回は断犬歯とはどういった事なのかを広く知ってほしいと思ったこと。また、それにおける自分の考え方を書いておきたかったのでこの内容を選んだ。
まぁ真面目な内容ですが・・・ご興味ある方はお付き合い下さいませ。

断犬歯をおこなう理由の大半は攻撃性によるもの。特に中型犬以上のサイズでの本気咬みは、咬まれ方によっては何針も縫うような大怪我になる。その怪我の度合いを減らすための手術だけど、犬歯を削ったからといって咬まれても痛くないわけではない。イメージとしては人間に本気で咬まれるようなもの。めちゃくちゃ痛いけど、犬歯が長くない分、深い傷になったり裂ける怪我になるリスクが減るという感じ。
また断犬歯をしたからといって犬の性格や行動には変化は起こらない。

これは余談。信じられない話だけど、病院によっては断犬歯の手術で通常は断面の歯髄をレジンを使って塞ぐ処置をするところを、わざと歯髄を露出したままにして犬が次に人を咬んだときに歯髄が当たって自ら痛がるようにする。なんて手術をするところがあるらしい。咬んだときだけではなく普段の暮らしにも痛みは続くだろうし、人間ならば激痛。仮に犬の学習に効果があったとしても、これは倫理観に反する行為だと思う。


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さて、ここからが一番伝えたい事。
自分は犬に断犬歯をするという選択を否定しない。
理由は大きく分けて二つ。

まず犬にとって犬歯が削られても日常生活ではあまり変化がないということ。犬の歯は本来、獲物の皮を引き裂くためにあるが、人からご飯をあげる以上は使わない。ドッグフードも普通丸飲みするし。手術が適切なものであれば術後の痛みもないから。デメリットとしては、全身麻酔をするという所、物をくわえにくくなるという所か。あとは手術自体。手術をする際、攻撃性の深刻さによっては麻酔をかけるまでの段取りもよく病院と相談する必要はあると思うけれど・・・。

断犬歯という選択を否定しない最も大きい理由は、
決して犬との向き合うことを諦めるためではなく、犬との関係を前向きにするための手術だと思っているから。

こちらからある事柄をしたら怒るなど、咬む行動が出るのがハッキリ分かっている場合はまだ良い。攻撃性の内容によっては咬む行動を完全に予測、コントロールできないケースがある。いつか咬まれるんじゃないか。そんな風に思ってしまう犬と、一つ屋根の下で暮らすことには飼い主にとって想像以上のストレスがあると思う。咬まれる痛みを知った後でまた犬と向き合う事には相当の勇気が必要。

それでも、今よりもっと触れ合う機会を増やしたい、ブラシやシャンプーといった出来ることを増やしたい、互いに安心できる良い関係を取り戻していきたい。
そういう思いを実現する。その一歩として。断犬歯をするのであれば、それは前向きな選択肢だと言えるのではないだろうか。

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とはいえ、犬に咬まれたら気軽に断犬歯をしましょうというわけではない。
人の都合で健全な犬に麻酔をかける。本来あるべきものを取り除く。それは簡単にして良いことではない。
断犬歯をするならば、その後に飼い主は犬をより幸せに。犬との関係を良くする努力をしていくのが条件だと思う。
そのためにもまずは自身が信頼できるトレーナーを見つけて、前もって相談しておけると良いだろう。
断犬歯は飼い主自身だけで決断するには少々重い。だからこそプロが客観的にアドバイスをすることって後に後悔しないためにも大切だと思う。

断犬歯は飼い主が怖いからという理由でするという事だけではなく、犬のQOLを高めるための選択であってほしい。
そして知り合いの方でもし犬に断犬歯をした方がいても、どうか否定的に思わないでほしい。

これが自分が断犬歯に想う事です。


posted by 安田和弘 at 18:40| Comment(0) | ドッグトレーニング

2017年07月24日

シニアから学ぶパピー育て

推定12歳。ビーも随分年を取った。シニアというのはこれまで出来ていた事がやれなくなったり、していた事をしなくなったりする。それに気付く瞬間は悲しい気持ちになるけれど、その度に有限なこの瞬間を大事にしようと思える。

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最近、散歩中に呼び戻しの反応が悪くなった。
筋力が落ちたことにより体の重心が崩れて跛行することが出てきた。
視力が落ちて壁にぶつかることが増えた。
これら一つ一つに解決策があり、ハンドリング技術があり。日々、発見と気付きを与えてくれる。
ビーはいつだって自分にとってドッグトレーニングの先生だ。

シニア犬との暮らしは楽しい。

前置きが長くなってしまったけど、今回はそんなシニア犬との暮らしから感じるパピー期の育て方について少し書きたいと思う。
パピー期の経験はご存知の通り犬の一生を左右する。社会化を筆頭に、落ち着いて休むこと、物に執着しない、身体を触られる事やグルーミングを嫌がらない、などなど。そして飼い主との信頼関係もこの時期に基礎が組み立てられる。
そんな大切な時期なのに、仔犬と暮らす飼い主はつい目先の問題に囚われてしまう。

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代表的な相談として甘噛みを例に。
甘噛みは仔犬を迎えた時のあるあるな相談。犬のサイズにもよるけれど場合によっては服が破れたり、青アザになるくらいに噛まれ続けるなんて事態になる。そこで飼い主はなんとか甘噛みを止めさせようと必死に色んな方法を試す。ネットで「子犬 噛み癖 直し方」「犬 噛む 叱り方」とか調べてみたりする。
そもそも初めて犬と暮らすと甘噛みと本咬みの区別も難しい。犬は遊んでいるだけでも本気で咬んでいると飼い主さんは思い込み(実際激しめの甘噛みだと襲っていると誰だって思うのかも)イケナイ事なんだと犬に教えようとつい止めることばかりを考える。

パピーは基本とにかく遊びたくて仕方がないだけ。ならば飼い主が教えることは「何なら遊んで良いのか」「どうしたら、どういうときは遊んでもらえるか」これを教えることが大切。

人と遊ぶのが楽しいって事を教えるのに最も適した時期がパピー期だから。噛み癖に悩むくらいなら、とにかくひたすらに遊んであげて疲れさせるのが良いだろう。遊びたい盛りを利用して人への期待感やワクワク感を育んでおく。それは土台の一つになり、シニアになっても消えない。

遊びに遊んでパピーが満足してきたら、次は休むことだったり、体中を触られることに慣らす練習をする。運動欲求が満たされていれば手入れも落ち着いてできるだろう。
ときにはフードやオヤツをふんだんに使って、とにかく人からされる出来事に喜びや安心を感じられるようにする。ブラッシング、耳掃除、口周りや歯を触らせる、足拭き、爪切り、首輪やリード等の犬具の着脱、台の上で触るなんて事も。どれも本気でしようとするのではなく、オママゴトのように。嫌がらない練習を日々積み重ねていく。手入れを嫌がらないように育てられたら、介護する時がきてもお互い負担にならない。

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三つ子の魂百まで。人と遊んだりトレーニングが楽しい。人にされる事に不信感ではなく信頼を。
パピー期に社会化と併せて必ず学ばせておきたい事だと思う。

ビーは年を取った。
前はぬいぐるみのオモチャを与えて目を離したらすぐに破ってボロボロにしてしまうのが最近はぬいぐるみで遊んでも途中で止めて寝てしまう。一緒に遊ぶのは変わらず喜ぶけれど、その時間は少しずつ短くなっている。

いつか一緒に遊ぼうと誘っても、もうできないよとビーから断る日が来るだろう。その日が来るのが正直怖い。
そんな気持ちを抱くようになってから、甘噛みの相談を受けると羨ましく思えてしまう。
そして邪険にしないでほしいと願う。パピーの頃に全力で向き合ってあげないでどうするんだと。

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シニアとの暮らしは楽しい。そう思えるようにするためにも、
パピーと暮らす方は全力で今を楽しんでほしい。

posted by 安田和弘 at 19:02| Comment(4) | ドッグトレーニング

2017年07月06日

PB 1st anniversary

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7月でPOSITIVE BUDDYは1周年を迎えました。参加してくれている皆さま本当にありがとうございます。

手探りで始めてきた企画ですが、今後はより魅力を感じてもらえるような、よりトレーニングにやりがいと楽しさを感じてもらえるような、そんな物にしていけたらと思います。

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今回は1周年を企画して期間限定課題をご用意しました。
テーマは「クリッカー」
課題の詳細は秘密。来店されてからご説明させていただくという流れになっております。

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この課題は飼い主さんのハンドリングスキル、犬の行動を築く能力が試されます。
そして運的な要素も少々・・・。
PB1周年にふさわしいやり応えとメッセージ性のある課題が作れたと自負しております!

合格する事で今後のPOSITIVE BUDDYを有利に進める特典もゲットできちゃいます。
限定課題は8月末までチャレンジできます。

最高のバディと一緒にぜひ合格を目指し挑んで下さいませ!

posted by 安田和弘 at 11:33| Comment(0) | ドッグトレーニング

2017年04月17日

動物病院を好きになるには その2

前回の続きです。
ちょうど去年の今頃にも動物病院ネタのブログを書いていた。やはりこれからのシーズンは必ず病院には行く季節なだけに注意喚起はしておきたいと毎年のように思う。

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昨年の記事はこちら。

前編
http://inthedog.sblo.jp/article/174670401.html
後編
http://inthedog.sblo.jp/article/174775381.html

昨年の記事では前半にオヤツの使い方。後半に緊張感を与えないための診察中の対応の仕方を書いた。
今回は犬が病院で感じてしまう恐怖心をどうやって減らしていくかという話。

「犬の恐怖心」
台の上が怖い、獣医が怖い、身体を抑えられるのが怖い、これらが全て怖いと感じる犬だったら大変だ。二重三重に重ねられた怖いという感情。犬は強い恐怖心を感じるとどうなるか。

犬が恐怖から身を守るためにする選択肢は3つ。
逃げるか。固まるか。攻撃するか。

診察台に上がった犬は逃げられない。そうなると残るは二つ。固まっているうちに済むと学べれば良いけれど、苦手な事柄が次々と続いてしまったら・・・。固まってもどうにもならないと思った犬は唸る、咬むといった攻撃的な振る舞いをするしかなくなってしまう。
そんな風に犬を追い込まないためには、恐怖に感じる一つ一つの事柄を可能な限り無くしていけるかが大切。
犬は人間が病院に行くときのように、治療のためとか自分の病気を治すためといった理由は分からないのだから。

人間もそうだけど、怖いと思っているときは神経が過敏になる。お化け屋敷を想像すると分かりやすいかも。
お化け屋敷で怖いと感じる人は、些細な音やちょっとした触感にも敏感になる。
つまり診察台に乗せられるのが既に怖いと感じる犬は、乗せられた時点で五感で感じる全てに対して過剰反応しやすくなっていると言える。

だったらまず診察台に乗せることに馴らせれば。それだけでも犬の負担をだいぶ減らせる。
普段から自宅で台の上に乗せることを練習して馴らしておくのも良いだろう。日常的に台に乗せてブラシをするようにしたり、保定動作(首回りを抱え込むような動き)に馴らしておくと良い。
それと、これからのフィラリアシーズンは良いチャンス。毎月薬を貰いがてら病院へ行き、診察台に乗せて体重を量る。特にその後嫌な事もされずに終わるという流れ。これは印象を良くするトレーニングをするにはうってつけの状況。
つい飼い主都合で薬を一度にまとめ買いしがちになるけれど、病院に馴らしたい方はご検討を!

その犬がどの程度病院が嫌いになっているかでもトレーニングの進め方は異なる。その犬が不安にならない状況を把握し、少しずつ出来る範囲を広げていくのが基本。もしも台の上に乗せて時間が経っても食べることが出来なければ、まずはその場で食べることが出来るかどうかがスタート。
診察台の上に乗せた後に確認するのは、食べ物を食べる余裕があるか。台の上に乗せようとするときに嫌がらなくなっていくか。最近は地面の高さまで下げれる診察台を置いているところが増えているので、その場合は犬の意思で乗るかどうかの確認もできる。自ら乗りたがるくらい台の印象が良くなってくると理想的。
台の上に乗るのを嫌がらないようになってきたら触る頻度を増やす。実際に保定動作をしてみたり、先生にお願いできるなら、先生から食べ物をあげてもらったり触診をしてもらう。このときも犬が精神的に食べられる余裕があるかをその都度確認していく。

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動物病院を好きになれるかどうかはその病院がどのような診察の仕方をするかが大きい。
コミュニケーションは一切取らず処置だけをする病院や、なかにはいくら診察のためとはいえ強引すぎる抑え方をする病院もある。
ビーが通っている動物病院は犬に負担をかけない診察を心掛けている。病院に馴らしたいと話せば、その意向を汲んでくれる。病気を治すのが動物病院だからと割り切らず、馴らす努力をしてくれる動物病院は本当に有難い。
犬が喜んで病院に来てくれれば飼い主は嬉しいし、獣医にとっても診察を楽にできる利点がある。まさに一石三鳥。
良い動物病院というのは説明が丁寧、診察が的確だけでなく、第一に犬に優しい動物病院だと思う。

なんらか病気になってしまってからでは犬のテンポに合わせて少しずつ馴らすなんて余裕はなくなってしまう。だから健康なうちに病院が安心できる場所だと教えられるか。それこそが病院を好きにできるかの分かれ道。
いざ、とっておきのご褒美を持って動物病院に出かけよう!

posted by 安田和弘 at 19:26| Comment(0) | ドッグトレーニング

2017年04月07日

動物病院を好きになるには その1

今月初め、福岡県の大牟田市動物園でユキヒョウの採血を麻酔を使わずに成功したらしい。
この動物園、2015年にはライオンでも無麻酔の採血を成功させていたり、動物に負担をかけない方法に意欲的で素晴らしい。

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※写真は東山動物園にて

ではどのように採血できるようトレーニングをしたのか。
それはハズバンダリートレーニングという方法。

http://inthedog.sblo.jp/article/60861330.html
前に勉強会やったなぁって調べたらもう4年以上前だった。時の流れが怖い・・・。

採血は網越しに尻尾からおこなってるので、飼育員がいる網に近寄る、尻尾を網の外へ出す、尻尾を直接触る、竹串など先端が尖った物で押す、これらの動作をもう一人の飼育員が食べ物を食べさせながら少しずつ馴らしていったと思われる。トレーニングは半年以上かけておこない、本番の採血までに至っている。ポイントとしてはユキヒョウが人間にされる動作を受け入れるように非常に計画的に進めていったことだと思う。一度でも恐怖感を付けてしまうと取り返しがつかないから。

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これまた東山動物園のユキヒョウ


犬の場合もハズバンダリートレーニングの考え方をよく使う。他の動物に使えて犬に使えないなんてことは当然ありえない。普通に考えれば犬の方が簡単なはず!・・・ただ現実は結構大変なわけで。
犬の場合、大きさが手頃だったり、力で抑えた方が良いという情報が広く伝わってしまっているため、パピー期の頃から無理やりな方法でグルーミング(ブラシ、爪切り、お風呂等)や受診をしてしまいがち。それが後に問題行動として浮彫になってきてトレーニングという流れが多いんだけど、既にトラウマがあるだけにトレーニングは大変になってしまう。

こう書くと飼い主に問題ありってことになってしまうけど。そもそも動物園の動物たちと比べ、管理されて飼われているわけはではないし、共に暮らす分だけ日常的な接点は犬の方がはるかに多い。
それら日常で起こる一つ一つの出来事を全て気を付けようとするのは容易なことじゃない。だからある程度苦手な事柄を犬が持ってしまうのは仕方がないように思う。それを踏まえて家庭犬なんだろうと。

大切なのは犬が苦手なこと、怖がっていること、それらを少しでも馴らしてあげたいと思う飼い主の気持ち。気を付ける気もない。もしくは犬のSOSに気付けない飼い主だったら犬は可哀想だ。

さて、タイトルにも書いた動物病院を好きになるには。
動物病院という存在は犬の暮らしに切っても切れない場所。病院嫌いな犬はきっと総犬数の過半数を占める。でもせめて大嫌いではなくちょっと苦手、くらいには留めておきたいところ。
ハズバンダリートレーニングという考え方も踏まえて、動物病院を嫌いにならないための心得を皆さんに知っておいてほしいと思います。

次回に続く!

posted by 安田和弘 at 12:59| Comment(0) | ドッグトレーニング

2017年03月24日

なぜ咬傷事故は起こるのか

今月9日にゴールデンレトリバーと子供の間に起こったニュース。犬と暮らす人ならご存知だと思う。
facebookなどでも他のトレーナーさんの見解をたくさん見かけた。当初は記事を書くつもりはなかったけれど、お店でも度々話題になっていたし、今後同じ事が起こらないようにと願いを込めて書くことにしました。

なぜこの犬が子供を咬んだのか。そこは実際に犬も自宅も見ていない以上分からない。
もちろん推測はするけれど、それが当たっている確証はないので。
ただゴールデンレトリバーは温厚で攻撃性が出ることはない、っていうのは経験上思わない。
実際にゴールデンレトリバーで攻撃性の相談は過去に何件も受けているし、実際に咬まれた飼い主さんにも複数お会いしているから。
そもそも攻撃性を持たない犬種というものは存在しないと思う。もちろん犬種特性や遺伝的に攻撃性が生まれ持って出やすい子というのはあると思う。ただ咬むという行動自体は学習行動。なんらかのキッカケで咬むことよって自分の身を守れる、自分に利益があると学んでしまえば、どんな犬だって攻撃性を覚える可能性はある。

これは自分の犬も同じ。ビーは今推定12歳。人を咬んだことは今日まで一度もなかったが、予期せぬ出来事が重なれば明日はその「一回目」が起こるかもしれない。
犬は自分が経験したことなのない状況には敏感。10か月のお子さんともなると日々成長があり、これまでとは違う動き、行動が変わっていくだろう。前回会ったときは良かったとしても、過信はできない。

咬傷事故。もし犬が人を咬んだ場合、狂犬病予防法によって届け出は義務付けられている。国内で咬傷事故として届け出があるのは年間約4000件。ただあくまで保健所に届け出があったものでというだけ。
実際に人を咬んでしまっても届け出をしないケースはかなり多い。家族や親戚、身内なら届け出する人はほとんどいないだろうし、他人でも小型犬が起こしたことや怪我が大したことなければ謝罪と治療費などをその場で支払ってお終い、なんてよく聞く話。なので実際の件数はこの何百倍もあるように思う。
もし今回の事故も起こした犬が小型犬だったら?きっと公にされる事はなかっただろう。

タイトルにも書いた、なぜ咬傷事故は起こるのか。
まず、しつけ。トレーニングをしておけばという話。咬傷事故を防ぐトレーニングと言えば真っ先に挙げられるのが社会化だと思う。そもそも他人が大好きに育った犬ならば、好きな相手に恐怖を感じて咬むという可能性は極めて低くなる。それに社会化をちゃんとした犬はメンタルキャパシティが高く、咄嗟の事態にもパニックを起こしにくい。人様に迷惑かけないよう躾をしたいと思うのならば社会化を最も優先するべき。
他にも攻撃性の予防には抑制を覚えさせる、平たく言えば我慢強くする内容もトレーニングにはあるけれど、
社会化やトレーニングをどれだけ充分にした犬でも100%咬まないとは言い切れない。

今回の本題はトレーニング以外の部分。
犬という動物を正しく理解している人が少なすぎる。これに尽きる。
飼い犬に手を噛まれる、なんてのがことわざになっているほど犬が咬むなんてあり得ないって思っている人が多すぎること。
知らない犬なのに目を直視しながら正面から近づいてきて触ろうとする犬好きな人。犬と散歩しているとき、後ろから早足で犬のすぐ間際を通り抜ける通行人。自分の子供が知らない犬に近づいていっているのに止めようとしないお母さん。
もちろん責任は全て飼い主にあると思う。危なければ相手に説明して止めてもらう。通行人を見かけたら道を空けるようにする。そういった管理が飼い主には必要。
ただ、それにしたって犬という動物を警戒しない人が多すぎると思う。


そして飼い主同士でも。自分の犬が緊張している、警戒している、そういう一瞬に気付けない人が多い。
犬同士を挨拶させているとき。明らかに緊張していて、その場から離れたがっているのに、飼い主は犬が出すSOSに気付かない。そうなると犬は自分の身は自分で守るしかなくなってしまう。
犬を悪くさせないために、どんな状況だと犬は緊張しやすいのかという知識は欠かせない。
それと緊張しているときの表情や重心の変化。犬のボディランゲージを見る力も大切。
あとは自分の犬のメンタルキャパシティを把握しておくこと。自分の犬が対応できないような環境を無理矢理に与えてしまうようでは心穏やかな犬には育たない。
厄介なのは犬に無理をさせている飼い主本人にその自覚がないケースが多いことだけど。

犬と暮らす人はもちろん。そうでない人たちにも犬が本当はどんな動物なのか、正しい情報が浸透していくことが咬傷事故を減らす唯一の方法だと思う。
犬は可愛い、犬は人に触られるのが好き。そういう都合の良い情報が目立ちすぎている。
本当は犬は繊細な動物で、人間社会にストレスなく適応できるのは簡単なことじゃない。だから人が守って導いていかなきゃいけない。

自分も今回の事故を他人事とせず、正しい事を一人でも多くの人に伝えられるように努めたいと改めて思う。

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posted by 安田和弘 at 20:55| Comment(0) | ドッグトレーニング

2017年03月20日

犬に話かけないDay その2

犬に話しかけないで過ごしてみる日を作ってみる。そんな突拍子もないような話には意外な効能があるそうな。そんなお話の後編です。

前回は犬とのコミュニケーションにおける部分。犬は言語コミュニケーションをしない動物だから。犬が本来おこなっている身体の仕草を用いての会話「ボディランゲージ」を学ぶために「話しかけないDay」をお勧めしましたが、今回はトレーニングについて。

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初めての場所に行ったりなどして犬が座らない状況のとき。つい飼い主さんは「オスワリ!オスワリ〜!」とキュー(指示のこと)を連呼しがち。実際お店に初回カウンセリングにみえる方の多くがそんな感じ。まず犬が指示を聞いてくれない理由を冷静に考えてみたい。
よく言われがちなのは、分かっているのに「わざと」しないというもの。このわざとという表現を自分は好まない。犬の学習は損得勘定。座れたら大好きなご褒美をあげようという状況でわざと言う事を聞かないなんて、犬にとってなんのメリットがあるのだろうか。

犬を悪者にする前にまず疑ってほしいのは、普段と環境が違って何をして良いのか犬が分からなくなっているのでは?ということ。実際それが一番理由として多い。
犬の学習はその時の環境に大きく影響される。例えば「自宅のリビングで」「お客さんなどがいない静かなときに」「飼い主が」「しゃがんで」「手にオヤツを持って」オスワリと言ったときに犬が座れるとする。これら全てがオスワリの行動を起こす条件になっている。もし場所が自宅でないだけでも犬はなにをして良いのか分からなくなってしまう可能性は高い。

で、分からなくなってしまったときに飼い主が最初にするべき対応は、まずキュー(指示)を外すこと。どうせ言ってもやらないのに闇雲にキューを連発するのは言葉の無駄使い。言われる度に犬は飼い主の言う事を無視する癖がついてしまう。それに犬はガミガミ言う人が苦手。熱意を正面から向けると徐々に飼い主から視線をそらしてしまう。

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じゃあどうやって犬に再び行動をさせるか。
まずは一旦落ち着いて。
犬がなにをすべきだったかを気付けるようなヒントを出してみる。ヒントというのは行動を教えた過程の方法。トレーニングがうまくいかない時の基本は一つ前に戻ること。
オヤツなどで動きを誘導して当初教えたのなら、それがヒントになる。室内で教えた行動が外でできないのなら、集中しやすい場所を探してそこからやってみるのも良いと思う。環境設定は大きなヒントになる。
飼い主自身がどうやってその行動を犬に教えたのかちゃんと理解できていれば一つ前に戻るというヒントの出し方は簡単だ。
問題なのは偶然、あるいは飼い主も無意識のうちに犬が行動を覚えていた場合。よくあるのはトイレの問題。飼い主が特に教えたわけでもなくなんとなくシートでできていた犬がある日を境に崩れてしまったとき。飼い主はどうやって再び教えたら良いのかに困ってしまう。本当は偶然覚えたなんてことはなく、必ず学習できたキッカケが存在するはずなんだけれど。
そういった点からトレーニングは単に覚えれば良いではなく、教えている過程が大事と言える。

そんな出来そうで出来なかった状況を克服させることを繰り返すことにより、犬は少しずつ普段と異なる環境でも安定して行動できるようになっていく。
大事なのは分かっている、理解しているはずと決めつけず、犬目線で分かりやすいように導いてあげること。

自分は指示を聞ける犬というよりも、空気を呼んで必要な事に気付ける犬が好き。
声を荒げなくとも自然と飼い主が望むことに気付ける犬はスマートでカッコいいと思う。
犬に話しかけないでハンドリングをしてみると実際どの程度行動を理解できているか分かる。しっかりとトレーニングをしている犬と飼い主なら言葉の指示がなくとも座らせたり、待たせたり、近くに来させたりといった動きができるはず。

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トレーニングにおいての犬に話しかけないDayの目的は、本当に必要な声掛けを見つけるためにある。言葉を無くして接してみると、本当は言わなくても行動できていた不要な言葉や、言うことでマイナスの印象となっていた言葉に気付ける。

犬を学ぶための一番の先生はその犬自身。
「話しかけないDay」を通じて、ぜひ皆さんも自分のワンコ先生からの個人指導を受けてみては?


posted by 安田和弘 at 16:13| Comment(0) | ドッグトレーニング

2017年02月20日

犬に話かけないDay その1

ドッグトレーニングには本当に様々な方法があります。十人十色。その犬、それぞれの個性に合ったトレーニングを。いつも言っていることですね。
というわけで今回のブログの内容が当てはまるかどうかは個々によりけりなのは予めご了承くださいませ。

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ここ最近「犬に話しかけないで過ごしてみて」ってお話をよくしている気がする。
このアドバイスが当てはまる方というのは、

・普段呼んでもなかなか犬が来てくれない。
・犬に指示をかけているのに全然聞いてくれない。
・飼い主への依存度が高くなってきている気がする。
・自分自身、犬に話しかけ過ぎていると自覚がある。

上記に当てはまるかなっていう方は試してみても良いかもしれません。

「犬に話しかけないDay」のルールは単純。
犬に話しかけないけど、日常通りの過ごし方はする。散歩、ご飯、グルーミング、遊び、トレーニング等、全て通常通りに犬におこなう。話しかけない=犬を無視して過ごすという事ではないのでお間違えなく。
話しかけない事の利点、実は一回のブログに書ききれないほどあるんです。

まずはコミュニケーションの面。
もともと犬は言語コミュニケーションはしない。
身体の仕草で会話をするボディランゲージが主体。それは相手に来てほしくないとき、一人になりたいとき、遊びたいとき、甘えたいとき、それら全てを身体で表現している。
でも家の中で犬と暮らしていると、つい言えば通じるような感覚を覚えてしまう人は多い。

もちろん言葉の意味を犬は学習できる。散歩に行く前に「お散歩行こっか?」と毎日話しかけていれば、その言葉を聞くだけで大喜びするようになる。
でも全ての言葉を理解しているか?と言えばそれはないだろう。

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言葉のないコミュニケーションをしてみると、場合によって言葉をこちらの意図とは違った形で犬が学習してしまっているかを判断できる。
例えば、犬がお気に入りのオモチャで遊んでいるときに飼い主に「そのおもちゃ楽しそうだねー!ねぇこっちに持って来て一緒に遊ぼうよ〜」などと話しかけられると、犬は「この人はじわじわと近づいてきてオモチャを取り上げようとしてるんじゃないか?!気を付けないと」と逆に飼い主を疑っているのかも。

犬は犬だから。人間の物差しで測ることは間違いだと思う。逆に犬からしたら「ちゃんと犬語分かってるの?この前からベッドで休んでいるときは来てほしくないって言ってるじゃん!」とボディランゲージでこちらに伝えようとしているのかも。人間の言葉を伝える時間があるなら、まず人間が犬語を覚える方が絶対早い。

日常で犬に来てほしいとき、逆に来てほしくないとき、それを伝えるにはどのように自分が振る舞えば良いのか?目線、身体の動き、表情、それら全てを駆使して相手に伝える。
それこそがボディランゲージであり犬が視る世界だから。

要するに、
伝わっているかどうかよく分からない「言葉」という情報を一旦外してみると、今まで気付かなかった発見があるのでは?犬の感情をより理解することが「犬に話しかけないDay」の目的。

そしてトレーニングや問題行動の改善においても話しかけない事の利点は大きい。
また次回に続きます!

posted by 安田和弘 at 20:28| Comment(0) | ドッグトレーニング