2017年03月24日

なぜ咬傷事故は起こるのか

今月9日にゴールデンレトリバーと子供の間に起こったニュース。犬と暮らす人ならご存知だと思う。
facebookなどでも他のトレーナーさんの見解をたくさん見かけた。当初は記事を書くつもりはなかったけれど、お店でも度々話題になっていたし、今後同じ事が起こらないようにと願いを込めて書くことにしました。

なぜこの犬が子供を咬んだのか。そこは実際に犬も自宅も見ていない以上分からない。
もちろん推測はするけれど、それが当たっている確証はないので。
ただゴールデンレトリバーは温厚で攻撃性が出ることはない、っていうのは経験上思わない。
実際にゴールデンレトリバーで攻撃性の相談は過去に何件も受けているし、実際に咬まれた飼い主さんにも複数お会いしているから。
そもそも攻撃性を持たない犬種というものは存在しないと思う。もちろん犬種特性や遺伝的に攻撃性が生まれ持って出やすい子というのはあると思う。ただ咬むという行動自体は学習行動。なんらかのキッカケで咬むことよって自分の身を守れる、自分に利益があると学んでしまえば、どんな犬だって攻撃性を覚える可能性はある。

これは自分の犬も同じ。ビーは今推定12歳。人を咬んだことは今日まで一度もなかったが、予期せぬ出来事が重なれば明日はその「一回目」が起こるかもしれない。
犬は自分が経験したことなのない状況には敏感。10か月のお子さんともなると日々成長があり、これまでとは違う動き、行動が変わっていくだろう。前回会ったときは良かったとしても、過信はできない。

咬傷事故。もし犬が人を咬んだ場合、狂犬病予防法によって届け出は義務付けられている。国内で咬傷事故として届け出があるのは年間約4000件。ただあくまで保健所に届け出があったものでというだけ。
実際に人を咬んでしまっても届け出をしないケースはかなり多い。家族や親戚、身内なら届け出する人はほとんどいないだろうし、他人でも小型犬が起こしたことや怪我が大したことなければ謝罪と治療費などをその場で支払ってお終い、なんてよく聞く話。なので実際の件数はこの何百倍もあるように思う。
もし今回の事故も起こした犬が小型犬だったら?きっと公にされる事はなかっただろう。

タイトルにも書いた、なぜ咬傷事故は起こるのか。
まず、しつけ。トレーニングをしておけばという話。咬傷事故を防ぐトレーニングと言えば真っ先に挙げられるのが社会化だと思う。そもそも他人が大好きに育った犬ならば、好きな相手に恐怖を感じて咬むという可能性は極めて低くなる。それに社会化をちゃんとした犬はメンタルキャパシティが高く、咄嗟の事態にもパニックを起こしにくい。人様に迷惑かけないよう躾をしたいと思うのならば社会化を最も優先するべき。
他にも攻撃性の予防には抑制を覚えさせる、平たく言えば我慢強くする内容もトレーニングにはあるけれど、
社会化やトレーニングをどれだけ充分にした犬でも100%咬まないとは言い切れない。

今回の本題はトレーニング以外の部分。
犬という動物を正しく理解している人が少なすぎる。これに尽きる。
飼い犬に手を噛まれる、なんてのがことわざになっているほど犬が咬むなんてあり得ないって思っている人が多すぎること。
知らない犬なのに目を直視しながら正面から近づいてきて触ろうとする犬好きな人。犬と散歩しているとき、後ろから早足で犬のすぐ間際を通り抜ける通行人。自分の子供が知らない犬に近づいていっているのに止めようとしないお母さん。
もちろん責任は全て飼い主にあると思う。危なければ相手に説明して止めてもらう。通行人を見かけたら道を空けるようにする。そういった管理が飼い主には必要。
ただ、それにしたって犬という動物を警戒しない人が多すぎると思う。


そして飼い主同士でも。自分の犬が緊張している、警戒している、そういう一瞬に気付けない人が多い。
犬同士を挨拶させているとき。明らかに緊張していて、その場から離れたがっているのに、飼い主は犬が出すSOSに気付かない。そうなると犬は自分の身は自分で守るしかなくなってしまう。
犬を悪くさせないために、どんな状況だと犬は緊張しやすいのかという知識は欠かせない。
それと緊張しているときの表情や重心の変化。犬のボディランゲージを見る力も大切。
あとは自分の犬のメンタルキャパシティを把握しておくこと。自分の犬が対応できないような環境を無理矢理に与えてしまうようでは心穏やかな犬には育たない。
厄介なのは犬に無理をさせている飼い主本人にその自覚がないケースが多いことだけど。

犬と暮らす人はもちろん。そうでない人たちにも犬が本当はどんな動物なのか、正しい情報が浸透していくことが咬傷事故を減らす唯一の方法だと思う。
犬は可愛い、犬は人に触られるのが好き。そういう都合の良い情報が目立ちすぎている。
本当は犬は繊細な動物で、人間社会にストレスなく適応できるのは簡単なことじゃない。だから人が守って導いていかなきゃいけない。

自分も今回の事故を他人事とせず、正しい事を一人でも多くの人に伝えられるように努めたいと改めて思う。

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posted by 安田和弘 at 20:55| Comment(0) | inthedog

2017年03月20日

犬に話かけないDay その2

犬に話しかけないで過ごしてみる日を作ってみる。そんな突拍子もないような話には意外な効能があるそうな。そんなお話の後編です。

前回は犬とのコミュニケーションにおける部分。犬は言語コミュニケーションをしない動物だから。犬が本来おこなっている身体の仕草を用いての会話「ボディランゲージ」を学ぶために「話しかけないDay」をお勧めしましたが、今回はトレーニングについて。

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初めての場所に行ったりなどして犬が座らない状況のとき。つい飼い主さんは「オスワリ!オスワリ〜!」とキュー(指示のこと)を連呼しがち。実際お店に初回カウンセリングにみえる方の多くがそんな感じ。まず犬が指示を聞いてくれない理由を冷静に考えてみたい。
よく言われがちなのは、分かっているのに「わざと」しないというもの。このわざとという表現を自分は好まない。犬の学習は損得勘定。座れたら大好きなご褒美をあげようという状況でわざと言う事を聞かないなんて、犬にとってなんのメリットがあるのだろうか。

犬を悪者にする前にまず疑ってほしいのは、普段と環境が違って何をして良いのか犬が分からなくなっているのでは?ということ。実際それが一番理由として多い。
犬の学習はその時の環境に大きく影響される。例えば「自宅のリビングで」「お客さんなどがいない静かなときに」「飼い主が」「しゃがんで」「手にオヤツを持って」オスワリと言ったときに犬が座れるとする。これら全てがオスワリの行動を起こす条件になっている。もし場所が自宅でないだけでも犬はなにをして良いのか分からなくなってしまう可能性は高い。

で、分からなくなってしまったときに飼い主が最初にするべき対応は、まずキュー(指示)を外すこと。どうせ言ってもやらないのに闇雲にキューを連発するのは言葉の無駄使い。言われる度に犬は飼い主の言う事を無視する癖がついてしまう。それに犬はガミガミ言う人が苦手。熱意を正面から向けると徐々に飼い主から視線をそらしてしまう。

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じゃあどうやって犬に再び行動をさせるか。
まずは一旦落ち着いて。
犬がなにをすべきだったかを気付けるようなヒントを出してみる。ヒントというのは行動を教えた過程の方法。トレーニングがうまくいかない時の基本は一つ前に戻ること。
オヤツなどで動きを誘導して当初教えたのなら、それがヒントになる。室内で教えた行動が外でできないのなら、集中しやすい場所を探してそこからやってみるのも良いと思う。環境設定は大きなヒントになる。
飼い主自身がどうやってその行動を犬に教えたのかちゃんと理解できていれば一つ前に戻るというヒントの出し方は簡単だ。
問題なのは偶然、あるいは飼い主も無意識のうちに犬が行動を覚えていた場合。よくあるのはトイレの問題。飼い主が特に教えたわけでもなくなんとなくシートでできていた犬がある日を境に崩れてしまったとき。飼い主はどうやって再び教えたら良いのかに困ってしまう。本当は偶然覚えたなんてことはなく、必ず学習できたキッカケが存在するはずなんだけれど。
そういった点からトレーニングは単に覚えれば良いではなく、教えている過程が大事と言える。

そんな出来そうで出来なかった状況を克服させることを繰り返すことにより、犬は少しずつ普段と異なる環境でも安定して行動できるようになっていく。
大事なのは分かっている、理解しているはずと決めつけず、犬目線で分かりやすいように導いてあげること。

自分は指示を聞ける犬というよりも、空気を呼んで必要な事に気付ける犬が好き。
声を荒げなくとも自然と飼い主が望むことに気付ける犬はスマートでカッコいいと思う。
犬に話しかけないでハンドリングをしてみると実際どの程度行動を理解できているか分かる。しっかりとトレーニングをしている犬と飼い主なら言葉の指示がなくとも座らせたり、待たせたり、近くに来させたりといった動きができるはず。

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トレーニングにおいての犬に話しかけないDayの目的は、本当に必要な声掛けを見つけるためにある。言葉を無くして接してみると、本当は言わなくても行動できていた不要な言葉や、言うことでマイナスの印象となっていた言葉に気付ける。

犬を学ぶための一番の先生はその犬自身。
「話しかけないDay」を通じて、ぜひ皆さんも自分のワンコ先生からの個人指導を受けてみては?


posted by 安田和弘 at 16:13| Comment(0) | ドッグトレーニング

2017年03月08日

臨時休業のお知らせ

3月6日(月)〜3月8日(水)の3日間を臨時休業とさせて頂きます。

9日(木)より通常通り営業します。
尚、この週もオリジナルクッキーは変わらず販売しております。

皆様にはご迷惑おかけしますがご了承の程よろしくお願いします。

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posted by 安田和弘 at 00:00| Comment(0) | inthedog