2016年03月29日

犬の緊張感はどこからくるの? 前編

あっという間に春ですね〜。
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春と言えば動物病院。狂犬病予防注射やフィラリア検査などなど。病院も最も混雑する時期です。
今回は動物病院で気を付けたい犬への接し方のお話。

自分もつい先日ビーを連れて狂犬病予防注射を打ちに動物病院へ。混雑時は車内で順番を待つことが多いけどこの日はあまり混雑していなかったので待合室で待機。同じ動物と暮らす人間という親近感からか結構な頻度で話しかけられたり、ビーも触られたり。診察室ではワクチンついでに健康診断とワクチンについて前から検討していた抗体価検査についての事などを獣医師に説明してもらいました。とても良く説明をしてくれる病院で気づけば30分くらい診察室にいたかも。抗体価検査についてのお話は非常に有益でした。それについてはまたの機会に。

さて、動物病院内で問題となりやすいのは
@待合室での待ち時間
A診察中の台の上

待合では閉鎖的な空間に知らない人犬がいて逃げられない雰囲気、しかもその直後には診察。台の上に乗せられてからは針で刺されたり、抑えられたり・・・。
怖がりの子にとってはまさに試練の時。
ビーも元々かなりの病院嫌いで以前は台の上に乗っけるだけで震えて半端ないくらい脱毛していた。
その頃から思えば随分と慣れたように思う。

動物病院で怖がりにさせないポイントはいかに犬を緊張感を出させないか。
そのためにまず考えたいのはご褒美の存在。

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最近は犬のトレーニングに関心がある動物病院が増えてきていて、パピーが診察に来ると社会化としてオヤツを食べさせてくれたり、犬に痛みや恐怖を与えないような診察の仕方を考えてくれている所もある。ビーの掛かりつけの病院も待合室には獣医師推奨オヤツのサンプルが複数あったり、診察後には獣医からオヤツをくれたりと嬉しいサービスが多い。

でもそんな動物病院の方針とは関係なく飼い主側が犬のご褒美を用意しておくことが重要。
inthedogでトレーニングしている犬ならば殆どのケースでパピー期からブラッシングや足ふきなどでオヤツを使って慣らすという事をしてきたはず。我慢しただけの対価をあげるという事で自宅では終わった後にあげてる方多いと思う。でも何故だかその割に動物病院では持参してない方が多いように思う。
どう考えても日常の手入れに比べて動物病院での診療の方が犬にとってのストレスは高い。日常の手入れでご褒美を減らしていくならまだしも、病院では是非にあげてほしい。

あげていない飼い主側の意見でよく聞くのが、獣医さんの前でオヤツをあげると嫌がられそうという話。確かにオヤツの存在を良く思っていない方もいるため、代わりにドッグフードを使ったり、一言あげる前に意図を説明しても良いと思う。気を使って台から降りて待合室に戻ってからあげる、ではなく台の上であげる。ここが大事。やっぱりご褒美の効果を出すにはそんな直後が望ましい。タイミングは体温を測る、触診、注射、などなど、そうした一工程事にあげられたらベスト。

食べる食べないの選択は犬の緊張度合を図るのに最も分かりやすい。
パピーからそうした方法を継続しており、その場で食べる習慣がある犬は恐怖心が多少高まっていても案外オヤツを食べられるけれど、成犬から使うようにした場合、怖がりの子はなかなか最初食べられない事も。
そういった場合は美味しいオヤツを使う、一度に与える量を増やす、空腹状態で病院へ行く、与えるタイミングを変える、等々色々なアプローチがあるので相談頂ければと思う。

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緊張感を出さないために普段から良い印象を刷り込んでおくこと。どうかもっと気を付けてくれる飼い主さんが増えますように。緊張感を増やさないハンドリングについては次回に!後編へ続きます。



posted by 安田和弘 at 16:57| Comment(0) | ドッグトレーニング

2016年03月01日

あなたを嫌っているわけじゃないよ 後編

前回のブログの続きです!
後編では攻撃性との向き合い方について思うことを書きます。

咬まれるかもしれないと思いながら犬と暮らすことは本当に大変なことだと思う。前回のブログにも少し書いたけれど、攻撃性を改善していくにはまず繰り返し悪い学習をさせないこと、つまり咬む機会を極力作らないようにするのが大切。行動が出ない期間が長くなればなるほど、その行動は出にくくなるから。しかしその分だけ人は咬む行動を出さないようにと暮らし方や接し方を気を付けなければいけないため、気持ちは窮屈に感じてしまう。

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それにどれだけ攻撃的になっていない期間が延びても咬まなくなったわけではない。残念なことだが、咬むことを覚えてしまった犬に、全く咬まない犬にするトレーニングというのは基本的には存在しない。いや正確には自分が知る限りは存在せず、自分にもそれはできない。だからトレーニングが上手くいっていても、飼い主はいつも心の片隅で犬の攻撃性を気にしていなければいけなくなる。

なかなか上手い話というのはないもの。噛み癖、吠え癖を即座に治す、みたいな情報はネット上に多数流れているけれど、実際はそう簡単な話じゃない。原理としては攻撃性が出る初動を罰で抑制させ、攻撃的にならなければ嫌な事や痛い目にはあわないということを教えていくというようなもの。
あくまで行動は一時的に抑制されているだけなので、同じ状況を何度も繰り返して咬む選択肢を犬が諦めるまで続ける必要がある。
それは結局出来る人にのみ効果が出る。例えば訓練士が預かり訓練中に犬にそれを学ばせたとしても、預かり後に飼い主が出来ないとなると犬から見た人の差が露骨についてしまう。
咬まれる怖さがある飼い主が犬に罰を使うことはとても難しい。咬まれても勝てと言われても気持ちがついていかない。それになにより方法としてリスクが高すぎる。そういった点からも根本から咬まない犬に変えるということは望めない。

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ただトレーニングに効果がないと悲観はしてほしくない。
今までだったら咬むであろうシチュエーションで咬まなくなるという変化は作っていける。例えば首輪を付けようとすると怒っていた犬がトレーニングをしていくことで首輪を付けることを受け入れてくれるようになる、といったもの。その過程が容易か、もしくは困難な道のりかは犬によっては異なるけれど、一つずつ出来ることを増やしていけたら?それは結果的に咬まれない暮らしに近づいていくことだと思っている。

犬に咬まれた人の多くは「こんなに可愛がっているのに」「私のことを嫌っているのか」などと話す。
また咬むことについても「本当は悪いと分かっているはず」といった見解をされる。

犬に対して人間の善悪の思想や道徳観を持ち込むのは的外れなことだと思っている。これは攻撃性に限ったことじゃないけれど。確かに犬には喜怒哀楽があり、他者に愛情を注ぐことができる存在。ただ人を傷つけるのは悪いとか、他者への幸福を願ったり、思いやりができるのは良いとか、そういう感覚は擬人化だと自分は思う。

犬が咬むという行動をするのは単純にその時に咬む選択をすることの利点を学んだから。飼い主を裏切っているわけでも、嫌っているわけでも、まして罪の意識に悩まされながらでもない。飼い主を愛していても咬む犬は咬む。それは人間には理解し難いことかもしれないけれど。

我が家のビー、我ながら良い信頼関係で結ばれたパートナーだと思っている。遊ぶときだけじゃない、ブラシをするときも、目薬を指すときも、それらを嫌がらず受け入れてくれている。だけど、お風呂に入れるときは別。逃げたり怒ったりはしないものの、準備をしている段階からテンションは下がり表情も固くなる。
ビーは自分のことは好きだけど、お風呂に入れようとするときの自分は好きではないだろう。
そんな状況によって様々感情が変わるのが犬という動物。好きなものは好き。嫌いなものは嫌い。とてもハッキリと示す。
ビーはお風呂に入れられている間も我慢をしていれば直に嫌な時間は終わることを学習しているし、ドライヤーの時間が終わったら朝ごはんが食べられるという特典も覚えている。
それがもし我慢ではなく唸るという行動で嫌な時間が終わるとしたら?きっとビーは我慢よりも牙を向いて人の作業を終わらせようと学んでしまうかもしれない。

本当はお風呂が嫌いだけど、飼い主に迷惑をかけたくなくて我慢してる?そんな複雑な発想を犬は持ちあわせていない。それは人間が持つ魅力だろう。
犬という動物はとにかく損得勘定によって学習をするものだと思っている。無償の愛みたいなものに期待をするべきじゃない。自分たち人間が動物から幸福感や癒やしを得るのは犬の献身的な態度ではなく、幸せに暮らすその表情からだと思いたい。

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攻撃性のトレーニングはとにかく大変。ただ犬もその分だけ辛いんだと分かってほしい。いつ嫌なことをされるかといつも気にしていたり、気を張って飼い主を見張っていたりしなければならない。
咬む癖を減らすトレーニングというのは、自分たち人間が暮らしやすくなり安心を感じていくだけじゃない。犬にも平穏な暮らしを与えていくものだから。
どうか変化を諦めず、でも根を詰めないで気長に気楽に続けていってほしいと思う。


posted by 安田和弘 at 19:55| Comment(0) | ドッグトレーニング